暇つぶしに本がほしくなって買いに出かけたら零崎に遭遇した。
流れで一緒に本屋に行くことになった。
そとに出ると雨が小降りで降っていた。気温が低い。

傘を持っていないぼくは小さくため息をついた。




「あ、」


「あ?」


「見ろよ。白い息が出る」


「あー、まぁ、寒いしな」




まぁ、零崎の言うとおりなんだが、何だか季節がまた変わったという感じがしてぼくは中々白い息が出るのが好きだったりする。
子供のようだがしかたない。昔からなんだからな。




「まぁ、これからもっともっと寒くなって雨が降らなくても白い息が出るようになるんだろうからイチイチ気にするようなものでもないのかもしれないね。」


「そうだな」




ぼくの隣でちゃっかり折り畳み傘を取り出した零崎は「でも」、と続けて言った。




「いーんじゃねーの?日本人特有の感情なんだし感じれるだけ感じといたほうが得だぜ」


「馬鹿だな。零崎、そんなものに損も得もないだろうに。馬鹿だな。零崎。」


「二度言った!?今二度言ったよな!??」


「大事なことなので二度言いました」




だなんて、ドヤ顔しみたけれど。
まぁ、損も得もないし。そもそもぼくは欠陥だし零崎は失格者だ。日本人云々から違うだろ。
零崎に続いて傘を差そうと思ってカバンの中を探してみたけれど置いてきてしまった様だ。なら、しかたないな。




「じゃぁ、帰るか。」


「あ?おい、お前傘は?」


「忘れたみたいだ。まぁ、仕方ないからこのまま帰ることにするよ」


「おいおいおい。風邪引く気かよ、ねーならねーで貸せって言えば貸してやんのによ」


「え?相合傘でもするの?ならいいよ、借りないから。ぼくは濡れて帰る」




そして、風邪引いたら崩子ちゃんとかに看病してもらう。




「あー、ったく。傘貸してやるよ!俺はフードあるしこのくらいの雨だったら問題ないしな」


「零崎・・・」


「礼にはおよばねぇよ」


「お前、ぼくより小さいから風邪引くんじゃ・・・」


「はいぃぃ!!最初の言葉がなかったらただの心配の台詞だったのに残念すぎるぜ!さっすがいーたんっ!」




ぼくに背を向けて去っていこうとしていた零崎はぼくの襟首を掴んでいる。笑顔で。
普通に苦しい。




「雨、振ってるね」


「そうだな」


「コタツでも、出そうかな。季節的にさ」


「よし、手伝うぜ。その代わりみかんを買いに行こうじゃないか」


「ていうか、居座るつもりかお前。」


「あたぼうよ」





あぁ、なんだか本を買いに着ただけなのに余分に買いにいくものが増えてしまったようだ。
冬になったと自覚したら何だか寒くなった気がした。
コタツとみかんは必需品だ。
真冬は起きるのも辛くて重ね着とか大変だけれども、







はじめはこんなにも、悪くないものだ。






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