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「あ」


「あ」


「む?どうしたのじゃ、お前様」


「ん?どうしたんですか、戯言遣いのお兄ちゃん」





目の覚める金髪の美少女と、日本人形のような黒髪の美少女は個々にいきなり立ち止まった人物に疑問の声をあげた。


ここで紹介するならば金髪の美少女、史上最強の怪異殺しだった人間に限りなく近い吸血鬼。
今現在にいっての名は忍野忍
もう一人は奴隷として己の決めた主に仕える血を受け継いでいるが和解したものの現在家出中。
そんな少女闇口崩子




「あーごめんね、崩子ちゃん。吃驚した?」


「あー悪いな、忍。吃驚したか?」




付け足して、崩子の手を繋いでいるアホ毛が揺れる青年はいーちゃん。本名不詳
そして、忍の手を繋いでいる青年は肩下まで伸ばしてる髪と髪で片目が少し隠れているのが阿良々木暦である




「いえ、別に」


「これくらいでは驚きもせんわ」


「そか」


「そっか」


「それにしても――」


「ん?」


「久しぶりだね阿良々木…あららきくん」


「態々言い直して間違えることか!?」


「ごめんごめん濁点付け忘れちゃった」


「わざとだ!!」


「ごめ、ごめんねっ、ぼく…君の事何にも分かってないのにっ!」




くしゃり、と顔を歪め、崩子と手を握っていない方の手で顔を覆った。
まるでそれは傷付いた表情を、泣き出しそうな表情を無理に隠そうとするような
そんな振る舞いだった。




「……………」


「お前様…」


「ちょ、そんなか弱い女の子をデリカシーのない言葉で泣かした野郎を蔑むような目で見るの止めて!!
謝るから!!マジすいません!!」


「そんな事より」


「スルー!?」


「このやり取りも二回目だね」


「確かに」


「その子は?」


「あぁ、忍っていうんだ。そっちの子は?」


「崩子です。私はお兄ちゃんの忠実なる奴隷です」




いーちゃんが何かを言う前にぴしゃり、と言い切った崩子。ここに微妙な空気が流れた。




「・・・・えっと、え?」


「えっと・・・」




珍しくいーちゃんが目をそらした。
崩子は軽くドヤ顔でしっかりといーちゃんの手を握っている。




「・・・・儂は、この者の忠実なる従僕だ。死ぬときは一緒だと誓いあったわ」




と、忍は固まるいーちゃんや暦に言ったというより、正面にいる崩子に向けて言っているように見える
ただし、それに気付いたのは互いの美少女が言った高レベルのシークレットを暴露した事に衝撃を受けている青年2人ではなく
爆弾発言を最初にした崩子だけであった




「へぇ」




と、花が咲くように微笑む崩子。




「ふふん」




と、清々しい笑顔を見せる忍

――――――が、両者とも目が笑っていない。




「何か寒いくない?」


「んー…、悪寒というかなんというか…」


「今夏なのにね」


「ちゃんちゃら可笑しいけどな」


「だよねー」




などと、会話する2人は自分等の腰の辺りにいる人物との会話に気付いてない。
否、気付かないフリをしているだけかもしれない…




(私の戯言遣いのお兄ちゃんはですね…!)
(こっちなんかのう…!)





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