★ オリジナルSS
どれ程に抱き合っても離れてしまうのが哀しい……
一つに融けてしまいたいと願う私から離れいつも貴方は窓辺に凭(モタ)れ煙草を吸う。
窓から射し込む月光に貴方と紫煙の影が私の躰(カラダ)の上でユラユラと揺れる……
「煙草は嫌いよ…」
「何故?」
「貴方が隣にいないから」
同じ問答を繰り返し過ごした幾つもの夜……
今夜もそんな夜だと思っていた。
「 」
いつもと違う夜になったのは貴方の一言……
月を背にした貴方の顔は見えない。
涙に濡れた私の顔は月に照らされているのに……
(なんて不公平なのかしら)
見えない貴方の顔の代わりに薄く月光を遮る紫煙を私は見つめた。
†-†-‡-†-†俺はお前を……
俺はいつもの様に窓辺に凭(モタ)れ煙草を燻らせる。
室内へと目を向ければ、月光に照らされたお前の躰(カラダ)でユラユラと俺と紫煙の影が揺れる……
「煙草は嫌いよ…」
「何故?」
「貴方が隣にいないから」
同じ問答を繰り返した幾つもの夜を俺が変えた……
「終わりだ」
涙に濡れるお前の顔が月光に照らされる。
本当は泣かせたくない……
けれどお前と共に過ごす度、深まる愛が狂気へ俺を誘う。
狂気が俺を呑み込んだ時、俺はお前の全てを壊すだろう。
だから手遅れになる前にお前へ別れの言葉を……
Fin
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