弐
二人が登校すると、教室では転校生の話題で持ちきりだった。
結有と翔護が席に着くとほぼ同時に始業の鐘が鳴り、教師とその後ろから少女が入ってくる。
まだざわついていた生徒達が彼女を見て息を飲み、教室が静寂に包まれる中、教師に促され少女は名前を名乗った。
「神梛 亜姫(かんなぎ あき)です」
「神梛の席はアソコだーー新城!」
「はい」
名を呼ばれ返事をする結有に
「校内のこととか神梛に教えてやってくれ」
「解りました」
「よし授業を始めるぞ」
・
・
・
「今日はここまで」
教師が教室を出るのを待ちかねたように、一部の生徒達が転校生の周りに集まる。
「ねぇねぇ、神梛さんってどこから来たの?」
「
……」
「どの辺に引っ越してきたの?」
「
……」
聞かれても何も答えない転校生に皆、戸惑っていたが次の授業の鐘が鳴った為、席へと戻っていく。
次の休み時間もその次の休み時間も黙ったままの転校生に、昼休みまでにほとんど誰も近寄らなくなった。
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