二人が登校すると、教室では転校生の話題で持ちきりだった。

 結有と翔護が席に着くとほぼ同時に始業の鐘が鳴り、教師とその後ろから少女が入ってくる。

 まだざわついていた生徒達が彼女を見て息を飲み、教室が静寂に包まれる中、教師に促され少女は名前を名乗った。

「神梛 亜姫(かんなぎ あき)です」

「神梛の席はアソコだーー新城!」

「はい」

 名を呼ばれ返事をする結有に

「校内のこととか神梛に教えてやってくれ」

「解りました」

「よし授業を始めるぞ」

 ・
 ・
 ・

「今日はここまで」

 教師が教室を出るのを待ちかねたように、一部の生徒達が転校生の周りに集まる。

「ねぇねぇ、神梛さんってどこから来たの?」

……

「どの辺に引っ越してきたの?」

……

 聞かれても何も答えない転校生に皆、戸惑っていたが次の授業の鐘が鳴った為、席へと戻っていく。

 次の休み時間もその次の休み時間も黙ったままの転校生に、昼休みまでにほとんど誰も近寄らなくなった。

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