タイトル「思い出は遠く、忘れがたきはセイシュンと。」


どういう話、過去の実体験を伝える話





シーン1「本番前 ワン、ツウー、3どうなる?」
前説男「本日は第20回河童の公演に足を運んでいただいて、ありがとうございます。」
 観客がざわつく客の一人がトイレに行く、公演予定のパンフレットを見たりしている。
前説男「公演に当たって諸注意を3点あげたいと思います、客席内での飲食喫煙はご遠慮ください、また携帯電話スマホの電源は、マナーモードか電源をお切りください、他のお客様のご迷惑になります、また公演中にフラッシュなども公演の妨げになります。」
バックヤードでは衣装に着替えた役者の一人が心臓の音を聞きながら必死に緊張しないようにセリフを何度も何度も確認している。
新人の役者「…ああ、ふースーーはースーハア。」
 何度も何度も練習してきた、もうやるしかない。わかってる、わかってることだけど、もう楽しむしかない。
ストーリーテイラー「はい、ストップ。これから先はお見せできません、が七転八倒の物語、多分忘れられないことが起こるでしょう?長くなります、心の準備は大丈夫ですか?おトイレは済ませました?体調の悪い方は?公演の最中お客様に変化がありましたら、ご遠慮なさらず申し付けを。」
 咳払いを軽くしながらメモ紙を取り出す。
ストーリーテイラー「あの頃を思い出すのは、あまりに苦く、どこから話せばいいのかわからない?今夜は星空、あまりにいい気分、観賞に浸りながらお酒を飲めば口が軽くなる、「あーあまたやちまったよ。」
お月様に本音をこぼし愚痴と怒りで後悔だけが肴に
なっていく。感動から随分と遠くなっていく。






シーン2「良子と黄色の青春と劇団員。」
新人の役者「初めまして、今日から入社することになりました、田辺です、よろしくお願いします。」
 田中新人の役者に近づく。
上司田中「ああよろしく、今日からは一緒に働く同僚だ、わからないことは遠慮なく聞いてくれ。」
新人の役者「ありがとうございます、食品企画2課に配属が決まって本当に嬉しいです。」
 新人の役者空いている机が気になり近づく。
上司田中「ああそこか、派遣の子の席で今日はー体調が悪くて休みだ。」
新人の役者「そうなんですか?その方は僕の?」
上司田中「ああ直属の上司になる、仕事はできるが協調性が少し、まあ心配するな、フォローはするから。」
新人の役者「はい、ありがとうございます。」
上司田中「遊んでいても仕事は始まらん、これ30部コピー5枚綴りだから漏れ無く、それから3階の人事課に行って田辺君のIDとパスワードその他ええと、あ写真なんか撮ってきてくれ。」
 新人の役者メモをとり机に置かれた書類を確認しながらゆったりと構えながらその場を後にする。
新人の役者「行ってまいります。」
 ゆっくりと舞台が暗くなっていく。
 暗くなった後袖では一人の女性の役者が準備している。舞台袖は2畳もない通路のような場所だ、明かりもない声も出せない。そこで役者は何を見る?何を感じる?僕が見たときはそう、笑顔と気合が混じる凛々しい顔、一人の若い若者から架空の人物へと入っていく時、この時はまるでわからなかった。
 舞台中央では一人の女性がシャドーボクシングをしている。
田中良子「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。」
 蛍光灯のスイッチのひもが上下左右にに揺れる。
 田中良子時折紐を確認しながらシャドーをする、そこから周りを見渡し座る。
田中良子「あーあ今日は会社休んじゃたなー。体って思い通りにいかないなー。」
 田中良子空を見ながら自分の人生を振り返る。
田中良子「あーああの企画通るかなー新人の子をいるし、私うまくいくのかなーあーあ。」
 舞台暗転していく。
そう、このお芝居は三ヶ月ほど稽古をした、その頃は役者、演技、立ち位置、地明かり、脚本の心臓、作り方、感情の山、ベラレーヌ、中学生日記、恋人、小説の書き方、その全てあれこれ、わからないことばかりだった、光で眩しくて輝いていた、
坂本「お疲れ様?今日はどうしようね?うーんとりあえずセリフ覚えているところは演じてそこから立ち位置決めようか?」
新人の役者「はい。」
山岡「坂本さん、どうしましょう?加藤さんのやつも今日やります?」
坂本「そうだね、加藤さんきたらやろう。」
桃井「坂本さん今回2部構成になります?衣装は?」
坂本「ああそうだね、袖においてから…。」
一部の劇団員の名前はこんな感じだったはず、これに加え客演も入るとさらに打ち合わせが増える、いま思っても河童劇団はあまり練習、稽古をしなかった、しないというより、イメージ先行の後半勝負見たいなところがあった、セリフは本番2週間前に覚えた記憶がある。
坂本先輩は何十年もアルバイトをしながら役者をしている方、有名カフェで働いているが自店舗の店長よりアルバイト歴は長く、エリアマネージャーが後輩のエピソードが本当に忘れられない。
山岡先輩は、うんそれはこの後たっぷりと、今日はここまで。
みんなみんな若かったそしてみんなみんな夢を見ていた。



シーン3「ああ舞台観賞、満漢全席電撃弩兵疾風土道、どって腹を撃ち抜かれちまった。」
 舞台奥ではスポットライトが当たっている。
ストーリーテラー「わかったってわかったよ、いまちょっと食べてるからえ?何が?鳥味のすぐ美味しいすごく美味しいうん。」
 ストーリーテラーラーメンを食べ終わってから言葉巧みに話す。
ストーリーテラー「始まりという言葉があります。ことの始まり、自転車に初めて乗った始まり、先生に初めて怒られた。始まり、そうです、そうなんです、そうなんです。」
ストーリーテイラー「身勝手な話が続きますが、どうかご勘弁を、どうか勘弁を、では始まり始まり。」
 ストーリーテイラー照明が落ちたらはける
 25か24歳の時記憶が曖昧だけれども今でも覚えている。その時の空気、感情、ストーリー、話し方
始まりは、そう。
山岡「渡辺くん今度僕の劇団でお芝居やるからよかったら見に来る?」
渡辺「え?お芝居って舞台ですか?うーん。」
山岡「務所の話なんだよね、刑務所土日の夜公演俺も出るから見にきてよ。」
渡辺「はい。」
 こんな感じだった気がする会話した場所は障害者施設の2階で利用者が隣にいて自分が前の職業が放送関係だったと伝えたらこのお誘いがきた。正直迷ったし画面が一番とおもっていたこともあるし、小説や童話は書いていたが、何かもわからず何になるかも知らずだったしただの若者だった。
当日になり場所は天白にあるナビロフトという場所で公演が行われた、ナビロフトに集まってくる謎の人にびびりながら開演まで静かに待ち辺りが暗くなり
舞台が始まった。
受刑者「1、2、1、2。1。2。」
刑務官「ぜんたーい止まれ、点呼をする、番号―。」
受刑者A「はい●▲〜〜〜〜。」
受刑者B「はい78236。」
刑務官「よーし房に戻れー。」
辺りの照明が赤に変わる。
場面が変わり首をつった人が舞台の真ん中に見える。
家族の会話がある。
悪者と務所からのやつが悪い話をしている。
照明と音がまた変わる。
刑務所の人の行進がある。
追い詰められた受刑者が銃を手にもつ大声で。
辺りに乾いた音が聞こえる。
渡辺「やべえ、ああ撃たれた。」
 俺は何を見てるのだろう?わからない、でもこれ、すごい、面白い、書きたい、すごい、見た事ない、書きたい、やりたい。すごい、何これ?やりたい。怒涛のように脳内から溢れるドーパミンやらか?雷に撃たれた衝撃は凄まじく、心さえも痺れてしまった。
渡辺「え?公演終わったらアンケートか?へーー。」
 正直ストーリーは覚えていない申し訳ないが。けれども、目の前で人間が叫ぶ、笑う、泣く、観客も泣く、ああこれじゃん、感動ってこれじゃん。心臓がどくどく行って、血が逆流するみたいに興奮してとにかく観劇中は生きている感じがして、それからそれからーあんまり覚えてない。劇団に僕は入った、役者もやるけど物語を書きたい。とにかくあの時みたいに感動したい。思いっきり感動したい。舞台が終わり出演者が挨拶する頃には僕は、決断をしていた。
山岡さん「どうだった?」
渡辺「よかったです、本当に。」
こんな会話を多分あの頃していたんだろう?
僕が演劇に目覚めたのはここが始まりである、遅すぎる青春がゆっくりと動き出した。
 



シーン4「演劇人集団河童塾と代表加藤さん」
9月27日風が強い、ブログを書こうと愛知青少年公園モリコロパークに来ている、ブログを書こうとネットに繋ごうとしたけれどWi-Fiに接続できないままパソコンに向かっている。ネットが不自由な環境で書くのは、なれないが充分森が癒してくれる。手間にあるソヨゴコーヒー店のスピーカーがうるさいし、一杯600円のコーヒーにポカンとしながら15時24分パソコンの前にいる。そうそう今はこれに少し集中しないと、急がなくちゃ。
今日は風が強い、思い出を話すなら映画祭から話したい。
 加藤「渡辺くん今度豊田の方で映画祭があるんだけど?行かない?アマチュアの祭典なんだけど?」
僕が劇団に入って二ヶ月ぐらいかな?自分が映画好きもあり加藤さんが僕と加藤さんの知人3人で映画祭に行こうという話になった、加藤さんを一言で言えば「平成合戦ぽんぽこ、のたぬきの誰か。」という印象
太ってはないし、痩せ型で小柄、来ている私服はめちゃ味がある革ジャンいつも頭にニット帽をかぶっている、高校か中学の臨時教師だ。かっこいい60歳後半の人だ、これだけ聞くと多分「たぬきじゃないって。」思う人が大半だろう、しかし加藤さんにはいくつかの劇団員からの逸話がある。
1 鯉みたいに大きい金魚を飼っている。
2 洗濯物を風呂場につけている。
3 トイレの線スイッチ?が壊れている。
4 若い頃は渡部陽一に似ている。
5 劇にこだわりがあるところとないところがある。
などなど本当かどうかはわからなかったし嘘だろうと思っているところもあった、まあそれはこれからのお楽しみでとっておくとしよう。
 渡辺「えー映画祭ですかーうーんどうしようか、行きます。」
こんな感じで加藤さんの知り合いのSさんと一緒に名古屋から豊田に行くことにした。Sさんは元河童の裏方兼役者物静かな感じで好みの映画は80年代のアメリカ映画、自主映画を作るため奮闘していた40代後半だった気がする。
加藤さんはあまり演劇、映画の話は自ら話さず、親の介護の話を道中していた気がする、車中の会話はあまり弾んだ印象がないが行きの車で途中コンビニによる機会があり寄ってみることに、自分はコーヒーを買って加藤さんは60代後半だが何を買うのかみてると、フードコーナーのチキンを買っていたのには驚いた、油で喉痛くならないのかな?と思いながら車は映画祭の会場に到着した。会場にはたくさんのお客さん年齢層がバラバラな人で溢れかえっていた、映画祭の内容は1日に6本以上の短編映画を観る審査員とお客さんがよかったものをアンケートに書く、当日映画祭の映画を撮る、映画製作者のアフタートークエトセトラ。こんな感じだったかな?朝11時に到着して映画を3人同じものを見た。
アマチュア映画をみての感想を加藤さんに尋ねられ。
 加藤「はっはっは笑。」
 渡辺「いや、だってカメラがたくさんあってすごいなあって。」
 加藤「まあ・・そうだね映画作るときは3台くらいカメラ置いて、撮影するのが基本だね。」
 Sさん「内容どうだった?」
 渡辺「はい、一人暮らしの寂しさをコミカルに描いていて、隣人との距離感がわかりやすく良かったです。」
 加藤「ああ、そうだよね若い人の演技も自然で良かったね。」
そんな会話もしながら楽しくとても楽しく過ごすことができた。
映画祭も後半になるにつれて帰りの時間が迫ってきた、笑ったり悲しい気持ちになったりこれやりたいって思ったり、青空のシーンで主人公と同じ目線でボートしたり、感想を言い合うのがとても楽しかった。
映画祭終わりぎわアンケートを書く時間があり3人アンケート書き終わりどれが一番良かったか?言い合っている途中、加藤さんが、ぼそりと言った。
 加藤「兄弟家がいい。」
渡辺、Sさん「え?なんで?」
「兄弟家」の映画の内容は、兄と弟と母親が田舎の家で暮らしていてお兄ちゃんが弟を突き飛ばしてしまう話、突き飛ばして映画が終わるのか?続くのか忘れてしまったが、あまり目立つ話ではなかったことは、はっきりと覚えている。
 加藤「いや、良かったよ。」
うーん今でも僕には加藤さんがわからない。
その後加藤さん宅にお邪魔したり劇に参加したり楽しく過ごさせていただきました、噂の
1 鯉みたいに大きい金魚を飼っている。
2 洗濯物を風呂場につけている。
3 トイレの線スイッチ?が壊れている。
4 若い頃は渡部陽一に似ている。
5 劇にこだわりがあるところとないところがある。
これはどれも本当である、
加藤さんと出会ってなかったら僕はパソコンに向かっていなかっただろう、演劇をやめていたかも、お世話になったし、感謝を伝えるのは苦手だ、けれど頭によぎるのはあのシーンと劇団員たち。

シーン5「MY ベスト?」
【桜井まず、今回私どもが出す企画名は、mybestです」、ご存知のとおり子どもからお年寄りまで、すべての年齢層に愛される料理、それが「ラーメン」です。現在の日本のラーメンは中国に元々あった拉麺とは異なる日本独特の食文化に進化を遂げ中国・台湾においても日本食として認知されています。今ではご当地ラーメンと呼ばれるジャンルまで確立して来たラーメンは、全国どこへ行っても食べることができるいわば国民食です
  田中はっきり言えば、わが社で、食べなくても駅前でも家の近くでも会社の近くでもどこでも食べられるな。
市松  〔咳払い〕私どもが提案するのはラーメンのバイキング化と1杯300円とお得意様制度です。
大口  何300円だとできるのか?そんなことが
田中  のら猫も寄ってこないぞ、そんな店
市松  お客様に提供するのはこの麺とスープのみです。ほかは全部追加料金とさせていただきます。
一同  えっ
市松  具材のねぎメンマチャーシュー卵すべて原価の30%プラスで提供します。そしてどんぶりはプラス100円で提供します
田中  ちょっと待て何がプラス100円だ、どんぶりなしで、ラーメン食えるかなめてんのか
市松  いえここで登場するのがお得意様制度です
加藤  あああれか
市松  常連のお客様のみどんぶりを無料で提供します、つまり通えば通うほど安くなる制度です、さらに好きなラーメンの投票していただきます3ヶ月に一回のペースで携帯などから投票していただき一位になったラーメンをわが味一番風にしてメニューに加えます。
加藤全国のラーメンをうちだけで独占するって事か?】
 ストーリーテーラー「最初の舞台初出演初作品初主演、確か無料公演だった、そのワンシーン物語は中盤主人公桜井良子が格安ラーメンの企画を出して社内をかき乱しながら、駆け抜ける物語最後は桜井は会社を辞めてNPOに謎の落とし所櫻井に憧れを持つ社員もいながら30分の舞台。
ストーリーテイラー物語の終盤を告げるため指を鳴らす、鳴らすと照明が徐々に消える。
 ストーリーテイラー「そのとき、そのとき感じること風の匂い舞台の木の匂いなんでもない会話、ジュースの味、汗の匂い、辛い経験、泣いたこと、笑ったことどれもこれも生きた証、自己主張はわがままじゃない、他人に迷惑をかけても間違っていてやめろと言われても自分に誓ったことを信じれば、それが青春、
青春って生きることかもしれない。
暗転になる。


シーン6「もしも。」
 ある夕焼け河川敷にてぼーと川を見ている渡辺、そこに一人また一人と話しかけてきた。
渡辺「あーあなんでダメなんだろう。」
坂本「大丈夫、大丈夫、一つ一つやれば。」
山岡「渡辺君考えすぎだもんね。」
夕暮れ、乾いた風の感じ虫が視界を遮りながら見る景色は走っている人車の走る音、犬の散歩、笑い声全てが美しい。
渡辺「ダメなんですよ、この夕焼け見たく見る人みんな納得させて素晴らしいて思わせないと、なんで自分はできないんだろうって思うんですよ。」
山岡「ああ、そんなの僕なんかほら今だに独身役者も中国人はやれたけどパッとしないよ。」
坂本「渡辺君お客さんもやっぱり100点の採点表なんか持ってないんだよ、教えられたこと全てが正しいわけじゃない、情報なんて経験からしか学べないんだ、積み上げた物こそホントウなんだから。」
桜井「大丈夫、やれます、楽しみましょうよ、ね。」
渡辺「そう、だよね、ありがとう。」
渡辺河川敷を眺めながら、決意新たに歩き出す、空へ空へと歩き出す、久しく忘れていた感情が湧き上がる。
飛び出してみよう、自分の影さえ忘れて、自分のルーツを超えて。


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