プレゼントフォーユー(1)
いまは1月。
目の前にはサンタクロース。
…これはいったい、どうしたことか。

僕の思考は停止し始める。

-プレゼント・フォー・ユー-


nameとは暫く会ってなくて。
端から見れば、自然消滅でもしたのか、と訝られるぐらい、連絡をとっていなかった。
理由はひとえに、多忙。この一言に尽きてしまう。
お互い忙しすぎる上に、たまにある休みも被らない。

だから、僕はとてもイライラしていた。

自室の扉を勢いよく開いて、ベッドに倒れこむ。

「会いたい…」

自然と、そう呟いていた。
いつもなら、この呟きは孤独な部屋に溶け込んで、後には無音を残すだけ。
でも今日は、僕の呟きに返す声があった。

「誰にー?」
「誰に、ってそりゃnameにきまっ………」

………途中まで無意識に返して、ようやく気づいた。
いまの声、は。

ベッドから跳ね起きて、窓辺を見る。
そこには。

「name!」

恋人がいた。
へらへらと、年不相応な幼い笑みを浮かべながら、僕を見やる。
何故、とかそういう思考よりも先に、体が動いた。

nameを抱き締め、何ヵ月ぶりかのキスをする。
舌を絡めて、唾液を吸って。
このまま、くっついてしまうんではないかと思うほど、長く深いキス。

お互いの唇が離れてからようやく、僕は冷静になった。

「…なんでいるんですか?」
「めっちゃ今更すぎるだろ、その質問…」
「しょうがないじゃないですか」

何がしょうがないんだか。nameはクスリと笑い、僕の頭を撫でた。
…nameに子供扱いされるのは、嫌いじゃない。

「仕事をはやく切り上げて来たの」
「ああ、なるほど。嬉しいです、name。……で、次の質問なんですが」

正直、一番気になっている質問を投げ掛ける。

「なんでサンタ服を……」

いまは、1月。しかも下旬。
サンタの活躍する時期は、もう一ヶ月も前のはなし。

「似合わない?」
「なにいってるんですか。nameに似合わない服なんてありませんよ」
「なにいってんのお前」

思ったことを言えば、照れと呆れが入り交じった返答をされる。

目の前のnameは…とにかくかわいかった。

いつもは素っ気ないストレートの髪の毛も、ふんわりとウェーブがかかっていて、スリットの入ったミニスカートからは長くて細い足が、スラリと伸びている。
サンタ服は何故か無駄に露出が多く、それを見にまとったnameはいつも以上に扇情的だ。

……………くそ…。
だめだ…襲いたくなる。
いやでも無理矢理は嫌われる……。

理性と欲望の葛藤に揺れる僕をよそに、nameは箱を取り出した。

「はい。遅めのプレゼント」
「……ありがとうございます。でも、僕はなにも用意してなくて…」

プレゼントを受け取ったものの、申し訳なくてなかなか開封できない。
そんな僕を見て、nameは笑った。

「いいよ、別に」

僕の手からプレゼントを取り、ベッド脇の棚の上においた。

「ジョルノがプレゼントで」
「え」

nameはにこりと笑って、僕をベッドに押し倒した。
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