おっぱい物語 | ナノ

三限目の放課になって、俺となまえは幸村のクラスに行ってみた。

「幸村くんなら授業が終わってすぐに教室から出ていったよ」

教室内に幸村が見当たらず、教室にいた女の子に聞いてみるとそう答えた。

「どこ行ったのかな、幸村くん」
「お前さん、よぉ見るとかわええな。今日の夜、空いとるか?」
「って、おい!!」

女の子を口説いているとなまえに叩かれた。

「痛い〜っ」
「ナンパするな!」
「なんで?」
「なんでって…」

少し困ったような顔を見せるなまえ。もしかして…、

「妬いとるんか?」
「ちちち、違うし!」
「顔が赤いぜよ」
「う、うるさい!」

また叩かれた。痛いけどこれもひとつの愛情表現かのぉ。

「一番かわええのはなまえじゃき、安心せぇ」
「…わかったから」

照れよるなまえは俺の胸をどきどきさせる。あ、なんか純愛っぽい。

「あの〜、もういいですか?」

口説いた女の子が呆れたように困っていた。忘れてたナリ。

「すまんの。もういいぜよ」
「はぁ、」

いったい何なの、と少し怒り気味で女の子は教室に戻っていった。

モテる男は辛い。

「どうする?」
「しょーがない。昼にもう一度来るか」
「そうだね」

肩を落として俺はなまえとクラスに戻った。きっとなまえは歩くのも気持ち悪いんじゃろな。

「なまえ、股大丈夫か?」
「…気持ち悪い」
「トイレは立ちしょんか?」
「なわけないでしょ!」

またまた叩かれた。今日のなまえはいつにも増してドSじゃ。

だるい数学の授業を受けて寝ていれば、いつの間にかもうお昼。

「なまえ〜」
「仁王早く!幸村くんがどっか行っちゃわない内に早くってば!」

なまえに手を引かれて俺は走らされた。そんな、はよせんでも幸村は逃げんよ。とは思いつつまた叩かれるのが嫌な俺はがんばって走った。

「幸村くんがいますように。幸村くんがいますように!」
「神頼みじゃな。お、」

教室を見れば、そこに幸村がおった。

「幸村」
「あぁ、仁王となまえ。何か用かい?」

にっこりと微笑む幸村。その笑顔がまた怖いぜよ…。

「あんな、一つ聞きたいことがあるんじゃが…」
「なんだい?」

眩しい笑顔を向けられてなんも悪いことなんてしとらんのに罪悪感が生まれた。こ、これが幸村の隠された力なんか…。

「えーっと、なまえがな…その…」

今の俺、かなり汗がやばいぜよ。好きな女子に告白するくらいドキドキしよる!!しかし、これはフラれるパターンのドキドキじゃ!確信もないのに俺は告白なんてしたりせん!あー!!トイレにも行きたくなってきたっ!

「仁王、大丈夫?」
「あ、あぁ。おかまいなく…」

さっさと言わな逆に幸村がキレそうじゃ。

「幸村。お前さん、俺やなまえに呪い的なもの…かけとらんか…?」

幸村の眉が一瞬わずかだがピクリと動いた。

まずい…、死ぬ。

「…アハハハハ」

突然、幸村が笑いだした。

「おもしろいギャグだね。」
「ですよねー」

こっちも笑ってごまかすけど、なまえに横目で睨まれて笑えなくなった。

「えっと…、ホントに呪いかけとらんのか?」
「さぁ?どうしてそんなこと?」
「前、みたんじゃ…。部室で幸村が真田の人形に釘を打ち付けとるところを…」


ゆっくりと幸村を見ると、そこに笑顔はなかった。






2010.4.22
(修正2011.5.18)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -