「幸村くんが…?」
「そうじゃ」
「そ、そんなバカなことあるわけないじゃない」
ありえないという顔をするなまえ。お前は幸村の本当の怖さを知らんのじゃ…。
「俺、前見たんよ」
「え…」
「幸村が部室でこそこそとしとることを」
「なにを…?」
ゴクリと音が聞こえた。なまえはとても気になるという顔つきで俺の次の言葉を待っていた。
「実は…前に幸村が真田のそっくりな人形の髪に十円ハゲを作って釘を打ち付けていたんじゃ…」
「は、!?」
「そしたら次の日、真田の髪は…」
「髪は…?」
「頭のてっぺんが十円ハゲになっちょった…」
「まじ?」
「まじ。」
なまえは驚きを隠せない様子。まぁ、俺も初めてみたときは目を疑ったナリ。
「まぁ一週間くらいたって真田の髪はもとに戻ったがな」
「一週間、真田くんは十円ハゲと戦ったんだね…」
「そういうことじゃな」
そう思うと真田の精神面はすごいもんじゃ。もし、俺に十円ハゲができたら恥ずかしくて学校になんて行けんぜよ。
「これでわかったじゃろ」
「でも、なんか信じられない…」
「それが幸村の怖さぜよ」
でも、幸村がこの怪奇現象を起こしたとしたら何が目的なんじゃ?こんなことしても、幸村にはなんのメリットもないはず。
「とりあえず本人に聞いてみるのが一番いいじゃろ」
「もし間違いだったら…?」
「お仕置きが怖いのぉ」
「ひぃいぃぃ!!」
なまえ、女の子はそんな顔しちゃいかんぜよ。
「さっそく今日の放課にでも聞いてみるか」
「やだなぁ…怖いなぁ」
「大丈夫じゃ。俺がおる」
「いや。役に立たないでしょ」
肩を抱き寄せれば、冷たいその一言で手を振り払われた。今日のなまえはちょっと毒舌すぎて、雅治くんには刺激が強い…。
「なまえ〜」
「なによ」
「愛しとぉよ」
「キモい」
ほら、やっぱり。毒舌。
「とりあえず、授業に戻ろっか?」
「なぬっ!?」
「だって一応解決方法は見つかったんだし、一安心じゃん。怖いけど…」
好きな人と誰もいないこの教室に二人きりだと言うんに、この機会を逃すバカな男がどこにおる。俺は逃さん。ヤッてやる!!
ん?懲りない奴だと?
はっ、何とでも言いんしゃい。
「なまえ」
「だからなに?」
「俺と…パコパコしちゃわんか?」
「死ね。なんだパコパコって、」
「セックスのことじゃ」
「説明しなくていいよ」
「なぁ〜、なまえ〜」
「うるさいな」
「俺は、本気じゃよ。」
鋭く細めた目でなまえを見れば、びくっと体を震わせた。
「…これが解決したらね」
「え、?」
一瞬、自分の耳を疑った。今なまえは何て言った?
「そそそ、それはおっけーってことか!?」
「解決したらって言ったじゃん」
まさかなまえがオッケーしてくれるなんて思ってもなかった。今の俺の心は有頂天で、ウハウハのムハムハなり。
もう、行こう?と言って、教室を出ていくなまえの後ろ姿でなまえの濡れ場を想像したら、ニマニマが止まらんかった。
2010.4.10
(修正2011.5.18)