短編 | ナノ



>>愛梨佳さまリクエスト




「ほらコーラ買ってきたぜ」
「ありがとうございます」

丸井先輩から冷たいコーラを受け取ってゴクリと渇いた喉を潤した。

「今日ほんと暑いな」
「そうですね」

額から垂れる汗がより先輩をかっこよくみせる。

「次はなに見たい?」
「先輩は?」
「なまえに聞いてんだよ。俺は別にいーの」
「じゃあ、イルカショーが見たいです」

よし来た。と言うようにベンチから立ち上がってあたしの手を引く丸井先輩。

「缶ちょうだい」
「え?」

あたしの持っていた空の缶を丸井先輩は手にとって自分の缶と一緒にゴミ箱に捨てた。

「行くぞ」
「はい」

先輩は無邪気でお菓子ばっかり食べてるから子供みたいなイメージがあるけど、こんな風に気の効いた一面があるのをあたしは知ってる。付き合うこと自体が初めてのあたしに先輩は優しくエスコートしてくれた。

「お、ちょうど始まんじゃん」
「よかったです」

嬉しくてニッコリと笑うと丸井先輩は何故だか目をまんまると開いてあたしの頭を撫でた。

「…かわいすぎ」

ボソッと呟いた丸井先輩につられてあたしも顔が赤くなった。

「なまえ、なまえ」

急に丸井先輩があたしの肩を叩いて指差すと、その先には主役のイルカたち。

「わー!かわいい」

調教師の人たちが笛を鳴らすとイルカたちはその音に従って大きくジャンプをして輪を潜る。

「なまえより頭いいんじゃね?」
「ひ、ひどいですよ」

シュンとなって渋い顔をしていたら「ウソ、ウソ」と肩をポンと叩かれた。

「イルカよりなまえのがかわいいよ」

慣れない言葉に熱が上がった。どうして先輩は恥ずかしいセリフをこうもあっさりと口にできるんだろう。

「もっ、弄ばないで下さい」
「弄ぶとかなんか卑猥だな」

そんな意味で言ったんじゃないのに丸井先輩はからかってケラケラと笑っている。あたしはすごく恥ずかしいのに。

「見たかったんだろぃ?ちゃんと見とけ」

下を向いていたあたしの顔を覗き込むように丸井先輩は話しかけてきた。顔を上げると、ちょうど太陽と先輩が重なって眩しい。

「おー!すげーな」
「わー!」

イルカたちのかわいさとすごさに魅了されて自然とテンションがあがっていた。

「すごかったですね!イルカ」
「あぁ、だな」

興奮が治まらなくて丸井先輩にきゃいきゃいと話すと先輩は落ち着けと言うように頭を撫でる。なんだかお父さんみたい。

「お、なまえ。ペンギンさん」

か、かわいいー!

「やばいです!かわいすぎる!」

よちよちと歩くペンギンたち。あ、一匹転けた。

「がんばれ!」

応援すると仲間が助けるようにくちばしで持ち上げようとして、無事起き上がることができた。

「はう!ペンギン愛ってすごい」
「なまえ、なまえ。興奮しすぎだから」

丸井先輩を見れば呆れたように笑いながら、ギュッと後ろから抱きついてきた。

「せせせせせっ、先輩!」
「ハハッ、悪ぃ悪ぃ」

手を繋ぎ直して行くぞ、とまだ顔の火照りがひかないあたしを連れて丸井先輩は歩き出す。

「なまえってペンギンみたいだよな」
「え?」
「なんか見てるだけで可愛くて、こっちが癒される。んで、目ぇ離すと後ろに居なかったりするからほっとけないんだよな」

目線を合わされて、柔らかく丸井先輩は微笑んだ。とてもじゃないけど、一つだけしか年が変わらないとは思えないほど大人な表情。

「へへっ。なんてな」

不意にチュッとおでこにキスをされて、先輩はまた歩き出した。

「…」
「さぁて。次はどこに行くか」

手を繋がれてるから足は歩いてるけど、自分の足じゃないみたいに力が入らない。初めてのデコチューはまさかの不意打ち。

「先輩ってずるいです…」

しばらく経ってから言えた言葉はそれで、聞いた先輩はごめんな、って言ってまた大人な表情を見せた。








アダルトな彼

(丸井先輩ってアダルト…)
(それちょっと意味違うだろぃ)







愛梨佳さまリクエストの大人な丸井先輩とほのぼの甘甘デートです!

全く大人になりきれない丸井先輩(笑)←どうしてだろう(´・ω・`)←書いていると水族館に行った気分になって楽しかったですww(笑)

リクエストありがとうございました!

2011.7.29
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