あたしはブン太と付き合ってる。だけど…
「におっんっ、ふ…」
「ちゅ…っ」
激しいキスを止めれば色っぽい表情の仁王と目が合う。
「なまえはダメな奴じゃの。彼氏がおるのに」
「だって…」
自分でもわかってる。この事実を知ったらブン太が悲しむことくらい…。いつから仁王とこんな関係になったのかは覚えていない。
でも、止められないんだ。
「ブン太が知ったらどうするんじゃ？」
「…その時はその時だよ。んっ」
また激しいキスが開始する。舌を絡めあわせて息ができないくらい夢中になる。本当にあたしはブン太の彼女なんだろうか。
「ふっ…あ、ん…っ」
「なまえはかわええ奴じゃ。そう思わんか？…ブン太」
えっ…。
振り向いてみると、そこにはブン太がいた。
「ブン太っ…」
「ウソ…だろぃ？」
目を見開いてブン太は信じらんねぇ…。と呟いた。
「ブン太違うの！これは…」
「何が違うんだよ…。ふざけんなっ！」
怒った表情のブン太が仁王に掴みかかった。
「おい！仁王、なんでなまえにキスしてんだよ！」
「まぁそう怒りなさんな。キスまでしかしとらん」
至って冷静な仁王にブン太は怒りをぶつけている。
「待ってブン太。仁王は悪くないの！あたしが！」
「なまえは黙ってろ！」
ドンっと突き飛ばされた。床にぶつけた足が痛む。体を起こしてみれば信じられない光景が目の前に広がる。
「ブン…っ太…？」
「んっ…ふ、におっ」
「ふっ、はっ…」
仁王にすがるようにブン太がキスをしている。訳がわからない…。どうしてブン太と仁王がキスをしているの？
「な…んで？」
「俺たち付き合っとるんよ。なまえとブン太が付き合う前からな」
「うそ…。だって男同士…」
「愛し合ってれば関係ないね」
「仁王もあたしを騙してたの…？」
「初めはちょっとした息抜きだったんだが、思ったよりもなまえが本気だったから付きおうてやったんじゃよ。意外と楽しかったぜよ。なまえも楽しかったじゃろ？」
「仁王！勝手に俺以外といちゃつくなよ！」
「まぁまぁ、ただのお遊びじゃ。ブンちゃん以外俺は、愛せないナリ」
言う言葉が見つからない。ニ人とも狂ってる。
「ブン太っ、あたし…」
「触んな！」
ブン太に手をはたかれた。
「汚いんだよ。…やっぱ女は信じらんねぇ。仁王とキスしやがって。まじ許せねぇから」
やっぱ罰が当たったんだ。浮気なんてするから神様が罪を与えたんだ…。
「仁王、行こう。消毒しなきゃいけねぇだろぃ？」
「そうじゃな」
「待って、ブン太っ……!!!!」
この声はもう届かない。
現実逃避
(可笑しくて狂いそう)
――――――――――
ホモっていうオチ。
悲しい結末なのかな？
2010.1.31