Black valkria




「な…!ギア・フリードの身体が縮んでいく!?」


ダークジェロイドを迎え撃とうとしたギア・フリードの身体が不意に半分以下の大きさに縮んでいった。
驚く城之内の耳に海馬の高笑いが届き、奴の場を見て何が起こったのか、理解した様だ。


「俺が速攻魔法『収縮』を発動させたのだ!!このカードの効果で、ギア・フリードの元々の攻撃力が半減する」


鉄の騎士 ギア・フリード
[ATK/1000 → ATK/800]


「『ダークジェロイド』がギア・フリードを粉砕!」


「くそ〜!海馬の野郎ー」


城之内 LP2400 → LP2300


「よく聞け。俺に対峙するあらゆる敵は全て利用価値がある…俺の勝利の為にな」





「俺のターンだ!…ギルファー・デーモンで、紫乃の『コマンド・ナイト』へ攻撃だ!」



君が紫乃の姿で、声で、恐ろしい力を城之内君達に振りかざすと言うなら、俺が…お前をッ。
自分から、攻撃を宣言しておいて、遊戯はバトルを見守らず、すぐに顔を伏せた。そのざまを見て、俺は冷めていく。


ギルファー・デーモン黒い業火に焼き尽くされて、コマンド・ナイトは跡形も残らない。





「俺のターン。手札から、マジックカード『エクスチェンジ』発動。お互いに手札を公開し、それぞれ相手の手札を選択し、そのカードを手札に加える」


このバトルロワイヤル形式のデュエルでは相手が複数いる為、対象を取る相手を選ばなくてはいけない。
誰にしようかと、辺りを見渡す。すると、丁度、マリクと目が合った。
奴はニィっと口の端を微かに上げて、自分の手札を軽く持ち上げた。


「そうだな…マリク、あんたでいいや」


「…その右端のカードを」


「ほらよ。じゃ、俺は真ん中のな」


互いに手札を公開し、カードを選び合い、投げて寄越し合う。マリクは俺の手札から、ただのトラップカード炸裂装甲を選んだ。
別にいいんだぜ、ダーク・ナイトを持っていったって。そう、見返すと、遠慮するとでも言う様に肩を竦めた。





「そして『ダーク・ナイト-ファントム-』を攻撃表示で召喚!」


紫掛かった黒の鎧を纏った騎士。そのモンスターがフィールドに現れただけで、一味違った空気になる。
だけど、まだまだ、これだけではないので、そう驚いてもらっては困るのだ。


「更に装備魔法『アバドンの邪剣』をファントムに装備。これでファントムの攻撃力は300ポイントアップする」


それだけではない。この装備カード装備したモンスターと戦闘を行ったモンスターはダメージ計算後に破壊されちまう。


ダーク・ナイト-ファントム-
[ATK/1500 → ATK/1800]





「バトル。『ダーク・ナイト-ファントム-』で、海馬の『ブレイブナイト』を攻撃!」


「く…リバース発動!『魔法の筒』!モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージをライフに与える!」


攻撃力の低いモンスターで攻撃だと…。
マリクのニュードリュアの事で、警戒しているのだろう。漆黒に光る邪剣を構え、躍り出るファントムに海馬はすぐさま、伏せカードを発動させた。
ファントムの攻撃は俺へと、跳ね返る。…こんな反撃を俺が予想しないと、思っていたのか、海馬。





「無駄だ。手札より、速攻魔法『痛魂の呪術』を発動!」


「そのカードは…っ」


「そう、こいつは『エクスチェンジ』でマリクとトレードしたカードだ。このカードは相手のカード効果によるダメージを無効にし、その数値分のダメージを相手に与える」


「!」


海馬 LP2100 → LP300


頂上へと、海馬のゴンドラが一気にせり上がる。はは、海馬君一番にゴール出来るんじゃねぇの。


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