Black valkria




「ところで、準決勝の組み合わせはどう決めるつもりだ…海馬」


既に瓦礫の小山から、デュエル・タワーを眺めたいたマリクはやってきた海馬に早速訊ねた。
俺はと言うと、空に浮かぶ雲に届きそうな塔を見上げてみる。すぐに太陽の光りに目が眩んで、視線を逸らしたが。


「慌てんな!あの塔に行けば運命は告げられる!」


海馬は無言でマリクと俺に一瞥くれていると、弟のモクバがすかさず代わりに答える。
運命と言うその言葉に笑いが込み上げてきた。その運命にお前等は絶望するんだ。


「ハハハ…!運命がいかに残酷か知るだろうさ」


小さく笑っていると、俺とマリクも同じ意見の様で、小山から降りて言う。


「貴様等の死と敗北の運命とな…ククク」


トーナメントに勝ち残った五人のデュエリストがいつの間にか集結し、暫し互いを無言で見つめ合った。
そして遊戯達の視線を背中に感じながら、振り返らずに俺はデュエル・タワーに向かって、足を進めた。










「デュエリストの皆さん。ようこそ、デュエル・タワーへ」


デュエル・タワーに入ってすぐ、磯野と紫乃の叔母の千年が待ち構えていた。


「今から、トーナメント準決勝戦を行います。が、その前にお知らせしなければならない事がございます。
トーナメント準決勝に参加するはずだったアメティスタ嬢が行方知れずに。更に多数行方不明者が出ております」


あの女も、トーナメントに参加してたのか。人を使うだけじゃなくて、自分も参加していたとは。
まあ、人数が足りなくても、別に問題無いか。主催者側は既に何か解決策を出しただろうし。





「行方不明者の捜索に尽力を尽くしておりますが、主催者側としましてはトーナメントの続行を決定いたしました。
――トーナメント準決勝は特別ルールを追加し、ここにお集まりした五人のデュエリストだけで、行わせて頂きます」


意義はございませんか、と問うが意義なんて唱えた所で無意味なのものだと、皆知っている。
俺達の目の前には六つの扉があるが、一つは使用停止と言う様に赤いテープが×印についていた。





「皆さんにはそれぞれ五つの扉から、塔の頂上に向かって頂きます。五つの扉どれかをお選び下さい。扉の選択に優劣性はありませんので、ご安心を…」


千年の静かな声に促され、それぞれ扉を選び、歩を進めるデュエリスト達。
最後に千年が目で何かを訴えていたが、無言で通り過ぎた。生憎、俺はあんたに何の興味もないんでね。





「…これに乗れってかい」


扉の中は狭くて、薄暗く、カードバトルシステムが搭載されたゴンドラが設置されていた。
誘われるままにそれに乗ると、扉は固く閉ざされ、ゴンドラは自動で動き出した。
ゴンドラは頭上の微かな光りを目指し上に向う。やがて、





「誇り高き真の決闘王を決め様と言う準決勝の舞台で、くじ引きで対戦相手を決めては公平さに欠けてしまう」


「ならば、対戦相手はゲームで決定する!!」


随分下から、磯野の厳かな声が飛んできた。すると、五人のデュエリストを乗せた五つのゴンドラが円を書く様に並ぶ。


「ルールは簡単!この場で五人のデュエリストが闘い、先に頂上に辿り着いた者二名。後の二名がそれぞれ準決勝第一戦・第二戦に出場する」


「そして、残りの一名が準決勝に勝ち残った者と、決勝戦で闘う事になります」





「(成る程…それが特別ルールって訳かい)」


生き残った一人は、誰とも闘う事なく決勝戦に出る事になるのか。
でも、それじゃあ面白くないよな…望めば対戦相手が選べるってのに。





「ライフポイントは4000!但し、ライフポイントが減る程頂上に近付く。――つまり、これは敗けた者から、先に頂上に辿り着くと言うゲームなのです」





「誰が誰を蹴落とすか、ゲームを開始する!!」





END


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