Black valkria




「バトル!全てのモンスターでプレイヤーにダイレクトアタック!」


レア・ハンターのフィールドにモンスターはない。この攻撃が通れば私の勝ちだ。


「馬鹿め!伏せカードを気にせず突っ込んで来るとは。トラップ発動!『聖なるバリア -ミラーフォース-』」


貴様のフィールドのモンスター全てを破壊する!
聖なるバリア -ミラーフォース-から、眩しい光が放たれる。が、





「残念!『漆黒の戦士 ワーウルフ』がフィールドにいる限り、相手はバトルフェイズ中にトラップを発動する事が出来ない!」


うわ、危なかった。ワーウルフか、斬首の美女かどっちを召喚するか、迷ってたんだけど。
漆黒の戦士 ワーウルフが跳躍し、レア・ハンターのフィールドの発動し掛けたミラーフォースのカードを踏み付けた。
発動を無効にされ、私のモンスター達が敵のフィールドに雪崩れ込む。


「な、何ぃ……そんな馬鹿なっ!?」


レア・ハンターはモンスターに取り囲まれて、驚愕の声を漏らした。





本当に入信とか、結構ですんで!全モンスターでダイレクトアタックッ!」


指を鳴らしたのを合図にモンスター達は一斉にレア・ハンターに襲い掛かる。
切り込み隊長、コマンド・ナイト、漆黒の戦士 ワーウルフが順にレア・ハンターを剣で切り付けていく。
バッサバッサと、まるで時代劇の殺陣のシーンの様に迫力があった。


「ぐああああぁっぁあああっ!!」


レア・ハンター LP4000 → LP0





「熱心な入信のお誘いでしたが、私暢気そうな顔してるってよく言われてますがこう見えても今、物凄く急いでるんです」


「く…ここは退くぞ!」


誰が言ったか分からないその一声を合図に男達は四方八方へと、散っていった。
今、闘ったレア・ハンターだけがその場に残り、フードの奥から、覗く濁った目でじっと、私を見つめていた。





「覚えていろ。鏡野紫乃!次は貴様の持つ『ダーク・ナイト』を頂く…っ」


そう言い残し、仲間の後を追った。





「あの人達、入信が目的じゃなくて、カードが目的だったの、か…え」


何故、私が『ダーク・ナイト』を持っていると知って…。
あのカード達は商品化されてない上に世界で1枚ずつしか、存在しないはずなのに。


「何者だ…あいつ等」


童実野町にレアカードを狙う窃盗集団が出るなんて、噂聞いた事ないし。
もう一度、レア・ハンターが逃げ去った方向を見て、呟いた。





「明日はDMの大会なのに、あんな奴等がうろついてたら大変――」


今のレア・ハンター達はイシズさんが言っていた間も無く現れると言う最後の千年アイテムを持つ敵に何か関係が。


レアカード…神のカードを狙う、窃盗集団…。
その中の誰かが、最後の千年アイテムを持っていて、もう一人の遊戯君を狙っている?
甦るイシズさんの言葉。自分が神のカードと王の記憶を巡る闘いに身を投じる。
失われた王の記憶を取り戻す為には私の協力が必要だと。





闘いの果てにある最後に試練。
何故、そんな闘いに私が関係しているのか、それは、




「私も、三千年前――もう一人の遊戯君に関係して、いるから……」


ダーク・ナイト達と共に描かれていた顔と名前の無い、大罪を犯した剣士。その正体は……。





「――私」


口にした途端、ドクンと心臓が大きく鳴った。





END


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