Black valkria




「遊戯!」


「本田!漠良!」


今まで姿の見えなかった本田君と漠良君が、やっと現れた。今までどこにいたのか尋ねると、ペガサスに捕まっていた"モクバ君"を助け出していたそうだ。
モクバと、名前と聞いた時、お姉さんの様子が少し変だった。漠良君の事も気になったが、すぐにペガサスとのファイナルデュエルの時間となってしまった。





デュエルキングの称号と大切なものを取り戻す為の王国最後のデュエルが始まった。


「遊戯VSペガサス!」


遊戯君はコンボでペガサスに挑むが、千年眼の力によって手の内を読まれ、仕掛けられた罠に掛かったりと状況は悪くなる一方だった。
マジカル・シルクハットとブラック・マジシャンのコンボでさえ、ペガサスの前では無意味だった。


「フフ…『ブラック・マジシャン』は葬りました……!?」


「シルクハットのモンスターの隠し場所は僕の意志で替えたよ」


もうひとつの僕の心は読めなかったみたいだね。
ここからもう一人の遊戯君と遊戯君。二人で人格を交代しながら反撃を開始した。
流石のペガサスも同時に二つの心を読む事が出来ずに先程の余裕が少しずつ無くなってきた。
そしてついにトゥーン・ワールドを破壊に成功した!


「トゥーン・ワールド破壊!!」


しかしペガサスは焦る事無く薄く笑ってこう言った。





「『闇のゲーム』で決着を付けましょう」


今から三千年の昔の古代エジプトでは石盤に魔物を封じ込めてそれを魔術師達が操り、王の覇権争いのもと戦っていた言い伝えがあるらしい。
それら石盤の伝説は何とかの書に記されてやがてタロット・カードに姿を変えていったそうだ。それがカードゲームの原点。
そのエジプトの石盤がこの――デュエルモンスターズの原点だとペガサスは語った。





「見て!デュエル・リングの周りに闇が…!」


「くそっ!何にも見えねぇぜ!!」


杏子ちゃんと城之内君が、デュエル・リングに闇が!とデュエルの状況が見れないと言った。
闇?一体、何の事だろう。私には遊戯君が苦しんでいる姿がはっきりと見えていた。
遊戯君が重苦しい闇に耐え切れず倒れてしまい私は思わず声を上げた。


「遊戯君っ!!」


皆の視線が私に集まった。


「紫乃!あの闇の向こうが……見えるの!?」


「――遊戯君が……倒れたっ」


遊戯君の心を…葬っただって……!?
杏子ちゃんの問に頷き、今の状況を素早く、伝えた。


「何だって!?」


デュエルの状況は遊戯君が倒れてまた悪くなっていった。このままじゃ、もう一人の遊戯君は負けてしまう。





「どうすれば…っ」


「SFみたいですけど…不思議な力を持つ鏡野君を媒体にして僕達の心を武藤君に送ると言うのはどうでしょうか」


「ちょ、聖さん何言って「それいいわね!」


そんなヘンテコな提案に杏子ちゃんがそれよ!と頷いた。
そうか、それか!いや、待って待って!私にそんな力ないよ!無理無理!
首を振ろうとしたら、『あの闇の中が見えてる時点で不思議な力があるだろう』
そんな眼差しで取り囲まれて何も言えなくなった。





「皆、手を繋いで!私達の心を遊戯に届く様に!」


皆で輪になる様に手を繋いで念じた。私達皆の心が届きます様に。私達の心の力が遊戯君達に届きます様にと。


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