小説




*R12…くらい。










「アリトはね、一緒に修行してくれるから好き。ギラグは抱っこしてくれたり、高い高いしてくれるし、ドルベは知らない事を一杯知ってて教えてくれる。ミザエルは…」


「ミザエルは?」


面倒で話半分に聞いていたら、不意にミザエルの名前が耳に入ってきて、聞き返す。
そこで口ごもるあたり、大方予想がつくけど。


「ミザエルは…タキオンがカッコイイ!」


可哀想なミザちゃん。
ぶきっちょになまえの世話を色々焼いてたのにな。好かれている要素がタキオンだけだってよ。
後で教えてやらねぇとな。吹き出して腹を抱えそうになるのを抑える。


「それでねベクターはね、顔が可愛いの」


「あぁ、顔?」


お友達のいいとこ紹介に自分が出てきて怪訝になまえを見返す。


「だって、ベクターの人間の時の顔はすっごくいいよ。私皆の中でベクターの顔が一番好きだよ。本当に可愛い」


俺の露骨な表情を気にせずに人の顔を両手で挟んで続ける。
この通りなまえには危機感が無い。何度かなまえを手酷く扱った事があるが、そん時は泣きべそかいて、またすぐに忘れて自分からノコノコやって来る。
そんなんだから、ミザちゃん達に俺に近付くなと耳にタコが出来る程言われてるってのに、人間の姿になった途端これだ。
相当真月零の顔がお気に召した様らしい。


「は!嬉しい事言ってくれるじゃねぇか」


「ベクターでも、褒められると嬉しいんだね」


「ヒャハハ!そりゃあなぁ」


こりゃあ、なまえちゃんにご褒美やらねぇとな!


「むぎゃ!…ひゃべれないよべくたゃあ」


無警戒ななまえの口の中に指突っ込むと、間抜けな声を出して、指を抜こうともがく。


「うぇー、べくちゃー?むぐッ…やぁ、べく…!しひゃやら…く、んんっ」


なまえの小さな口に差し込む指を増やして、逃げ惑う舌を嬲る。舌は人体の急所らしい。
ざらざらする舌を指の腹で押したり、撫でたり、引っ張ったり、その度になまえから苦しげに喘ぎ逃げようと身体を震わせる。





「イヒヒ、なまえちゃあん。凄いね、そんなにお口の中気持ちいいのー?」


俺が舌を弄んでいるから上手く飲み込めない唾液が口内に溢れかえっており、それが口の端からダダ漏れ、俺の指もベトベト。
不快感よりも苦しげに目に涙を浮かべるなまえを見て、愉快で堪らなくなってくる。


「あぐ、ちが、くりゅ、し…べく、んくっ!」


人間の身体になんて興味は無かったが、いざ自分がなってみて、バリアンとは違う人間の身体の機能は面倒なとこもあるが中々面白い。
調子に乗って、喉の奥に指を突っ込んだら、今まで抵抗らしい抵抗が出来なかったなまえが苦しげに呻きながら思いっきり指に歯を立てた。


「いってなぁ…歯立てんじゃねぇよ」


口から指を抜いてみると、唾液でヌラヌラと光る指に血が滲んでいた。
噎せていたなまえは俺の声にはっとして、こちらを見る。勿論、なまえだけが悪い訳じゃない。


「げ、ほ…ごめ、なひゃいべくた」


それなのに俺がお前が悪いと言う風な声を出すと、単純で素直ななまえは泣きながら謝る。
自分で嗜虐心を煽ってんのが分かっていない。危機感が無い上に簡単に従っちまう。


「ほら、舐めろ」


「ん…」





再び突き付けられた指と俺を交互に見て、なまえは躊躇いがちに赤い舌を這わせる。
最初は俺がまた喉の奥まで指を突っ込むんじゃないかと恐れていたみたいだが、俺のその気が無いと少しして分かると自分から深く指を咥える様になった。


「むぅ、…ちゅ、…んん…」


指先から、指の付け根まで、自分のつけた噛み傷まで、言わなくてもそれは丁寧に。


「いい子だ」


暫くして、指を引き抜くと、顔を真っ赤にさせ口元を抑え身体を小さく震わせながら、なまえは膝をつく。
あらら、名残惜しそうな顔して、まさか本当にお口で気持ちよくなっちまったのか。
なまえの頭を何度か撫でると、気持ち良さそうな声を上げる。


「気持ち良かったか」


「…わかんない」


頭を撫でていた手で髪を透き、そう答えるなまえを引き倒す。


「いた…っ」


上気したままの顔が瞬時に痛みと恐怖に強張り引きつる。
それじゃあ駄目だ。全然駄目だ。この俺が珍しくご褒美やってんだ。気持ち良いって分かんねぇとな。


「それじゃあ、特別にもっとしてやるよ」





易しい優しい殺し方
(分かるまでじっくりと教えてやる)


title:カカリア
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