小説




中学生になって、着慣れてない制服が皆すっかりと着慣れてしまった頃だか、私はどうにもスカートが短過ぎる気がしてどうにも慣れない。スースーして駄目だ。
他の女の子達のようにタイツとかスパッツ履いてるけど、ぴたっとしてるのが何だか好きじゃなくて、いつも履き心地の悪さを感じている。
なんで皆こんな短いスカートで平気なんだろう…。


「女の子って大変なんですね」


私のしょうもない話を今の今まで、黙って聞いてくれた転校生の真月君はそう言ってくれた。
転校してきて間もないけれど、もうクラスに馴染んで友達も一杯出来ている適応能力の高さ、元気で人の為に頑張ってるけど、大体空回りで憎めない。
男の子だけど、なんだか可愛いって言葉の似合う…あれれ、君昔の少女漫画のヒロインみたいな子だね。


「男子はいいよね、ズボンで」


「そうですね、ズボンを嫌いな男子はいないと思います」


走ったりジャンプしたりしてもパンツ見える心配しなくていいしさ。
私はどちらかと言うと活動的と言うか…悪く言えばお転婆で、走ったり体を動かすのが好きな方だ。
だから、小学校は入学して卒業するまでずっとパンツスタイルでいたので、中学生になって制服のスカートは本当に嫌だった。今も嫌だけど。


自習時間、先生がちょっといないのをいい事に私は後ろの席の真月君に振り返りながら、他の皆と同様におしゃべりを続ける。
女子もズボンになればいいのになぁと自分のスカートをつまみながら、呟く私に真月君はおかしそうに笑う。





「でも、なまえさんにはスカートの方が似合ってますよ」


「え、そうかなぁ」


この授業の前は昼休みだったので男子に交じってバスケしてたら、いつの間にかどこかに引っ掛けてタイツ破いちゃったし。
今日代えを忘れちゃったから、生足晒している訳なんだけど。


「私女の子っぽくないからあんまり言われないけど…」


ひょっとしたら、いやひょっとしなくて…私よりも真月君の方が女子の制服似合うんじゃないかな…。
うん、目私より大きいし肌白くてツルツルだし素直だし。うわ、私真月君に女子力でも勝てるとこないや。真月君の方が私よりよっぽど女の子っぽいよ。


うーんと呻って納得出来ていない私に真月君は心優しい言葉を掛けてくれる。


「僕は今時くまさんのパンツ履いているなまえさんが本当に可愛いと思いますよ」


「フォローありがと……ってななななん知ってんの!?」


今日くまさんだって!タイツ脱いだのだってついさっきなのに…ッ!
足閉じて歩いたり、いつも以上に気をつけてたのに!
真月君の発言に私は慌ててスカートを押さえる。


「座った時からスカートめくれ上がってますよ?」


ばばーんと、それはもうダイナミックに。
ケロッととんでもない事を言った!


「え、ちょ、なんで早く教えてくれなかったのー!」


うわ、うわうわ!私今の今までパンツ丸出しで恥ずかしい、ダサイ、カッコ悪い!!
真月君長い事私と話していたのに「なまえさんパンツ見えてますよ…っ」って素振り全然なかったじゃない。
ちくしょう私のパンチラ(というかモロパンと言うのか…)じゃあ動じないぜってか!その通りですよね!うあああ、とにかく落ち着け自分。


「ついうっかり」


ちょっと抜けてて可愛いなぁと思って!





女の子って可愛いなぁと思って
(それ可愛いじゃなくて、"本当に可哀想な生き物ねクス"って感じだから!)
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