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純粋に恋をしている真月君

パチン。
乾いた破裂音と共に目の前が真っ赤に光って、ほっぺが熱くなった。
後からじわじわと遅れて痛みがやって、私は叩かれたほっぺを抑えながら、呆然と彼を見る。
手加減をしてくれたみたいだけど、痛いものは痛い。

「私、何にもしてないよ」

零君の願い通り他の男の子とも口を聞いてなし、目も合わせていないよ。
零君からのメールの返信だって五分以内を心掛しけてた、電話だってすぐに出たよ。
友達と遊びに行くのも全部断って、いつでもどこでも何でも零君を優先してきたよ。

「それなのに、どうして叩くの。私が嫌いになったから」

「違います。違うんです」

私も零君も向かい合ったまま俯きながら会話を続ける。

「どうして、いつも私の事監視みたいな事してるの。私が信じられないから」

私は零君の事好きだから、信じているから、束縛だって喜んで受け入れているのに。
けど、零君は私の事を信じられないから、縛ったり、監視したりするの?
それなら、悲しいけど、私達もう一緒にいない方がいいのかもね。

私がそう言うと、零君は顔を上げ震える声で言う。

「あなたの事が好きなだけなんです」

どうしていいのか分からないくらい。
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