真っ赤なワンピースと同じ色のずきん姿のなまえ。童話の赤ずきんを思わせる。
「変わった格好をしているな」
後からやって来たロイド達も仮装をしており、今日がハロウィンだと思い出す。
仮装か、ふ、大人びていてもまだまだ子供らしいところもあるのだな…。
「あ、クラトスさんトリックオアトリートです」
「…すまん。何も用意していない」
無邪気にニッコリと笑いながら、両手を出すなまえに申し訳ないと謝る。
季節行事を忘れた大人を子供がどれだけがっかりな目で見つめる事か、恐る恐るなまえを見ると、相変わらず笑顔で、
「最初から、クラトスさんからお菓子を貰えるとは期待してませんから」
どうせハロウィン忘れていると思っていましたし。
「(笑顔で言ったっ)」
「そのかわりにイタズラさせてくれれば」
「…なまえ、ちなみにイタズラとは」
彼女の刺のある言葉に私が内心傷ついてると、なまえがそう切り出す。心なしかその声は弾んでいる様に聞こえる。
「熱湯を耳に注ぎます」
「え」
「やかんで沸騰させた熱湯を耳に「二度言わんでいい」
一体、どこからそのやかんを出したとか、イタズラが拷問というのはどうなんだとか、大人として言わなければならいない事が沢山あるが、まず私は嬉々と目を輝かせているなまえから逃げる事を優先した。
ドSな赤ずきん
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