9月3日までの拍手
イドエレ
「その三つ編み…まさかミーシャとお揃いのつもりなのか!?」
出来るなら会いたくない人物の第二位。叶うならば視界にあまり入ってきて欲しくないというのに、何故かそういう奴に限ってやたらと遭遇してしまう。まさに今がそうだ。
黙っていれば、そう、黙ってさえいればいいのだ。顔は無駄に整っているし、髪はくすみのない金。少し派手に思われる服であるのに完璧に着こなしてしまう。黙っていれば俺から見ても相当に美形なのだ。
「いつぞやのお義兄さま…じゃなかったな、エレフセウスか。残念ながらこれは貴様の巨乳の妹を意識したわけではない」
開かなければ…と思うだけ無駄だ。こいつは真面目な顔をしていても頭の中は巨乳の美女でいっぱいなのだ。聞き捨てならない言葉が聞こえたが、ここで剣を抜くほど俺は子供ではない。
「…そうか、ミーシャとお揃いなのは俺だけで充分だからな。じゃあまさかのスコルピオスか?」
「待て、なぜあんな美しくもない者と揃いでなければならんのだ!!この低能!!」
口を開けば二言目には低能。わかってはいる。これはイドルフリード。外見と中身が釣り合わない人物なのだ。
青筋が浮かんでいるのがわかる。瞼と拳が震えているのもわかる。ここで怒るな、堪えろ、堪えるんだエレフセウス。
「そんな力いっぱい否定するな、失礼だろう。となると冥王のところの…」
「わざと言ってるだろう。いいか、私はお前と揃いにしてやってるのだ。この私が!さあ喜べ」
出た。自分は世界の中心だと言わんばかりの発言が。自信満々に告げる顔が気に入らない。殴りたい、この見かけだけは最高クラスの男を。
「理不尽にも程があるな…お前とお揃いでも何も嬉しくないんだが。大体お前、女好きだろ。…ミーシャみたいに胸のある」
「確かに巨乳は素晴らしいものだ。だがしかし!美しいものがあれば愛でるのは当然だろう。そんなことも分からないとはこの低能が!」
なんで嬉しそうなんだ。意味が分からない。目眩がする。
おまけ
オルフ「閣下を低能呼ばわりとは許せませんね、シリウス。あの頭が残念な航海士を輪切りにして、今夜の私達のディナーの食材にでもいかがでしょうか?」
シリウス「殺すだけじゃなくて食う気なのか?」
オルフ「美しく有・能・な!閣下の一部になれると思えばあの男には勿体なさすぎる末路でしょうよ。あぁ、閣下と同化だなんてうらやましいじゃないですか」
シリウス「お前がいなくなったら大将も俺も寂しいし、悲しいんだぞ。それは覚えとけよ?」
オルフ「シリウス…ありがとうございます………なんて言うとでも思ってるんですか?さあさっさとあの低能を八つ裂きにしに行きますよ」
シリウス「落ち着けオルフ!竪琴を仕舞え!お前が殴ったら本気で死ぬから!」