メルヒェン→メルツ
「僕の短い人生にはこんな言葉が似合うと思わない?後悔」
「なんでメルツはそんなに後ろ向きなの?」
「君は僕なんだからわかるでしょ?あの怪しい男を連れていかなったら僕は幸せな生活を送りつづけていられたかもしれないんだよ」
言葉とは反対でメルツは笑いながら言う。この笑みは偽りじゃないと解る。僕がメルツだから、という訳ではなく、メルツの性格をよく知っているからだ。
過ぎたことを突いたところで何も変わらない。それをメルツは1番よく知っている。だから僕の存在を疎ましがらず友人として見てくれる。僕はそれを嬉しく思うが、悲しくも思ってしまう。
僕は自分のことをメルツの復讐の執行人だと思っている。死んでしまって物事に干渉出来ないメルツに代わって動くのは僕。
「ほら、メルヒェンもまた暗くなる。どうせ自分が生まれた訳でも考えてるんでしょ?」
「流石メルツ。僕のことを分かってるね…」
「当たり前だよ。僕たちは同じなんだからさ」
メルツはぽんぽんと僕の頭を撫でてくる。少し乱暴だけど気持ちがいい。沈みかけた気分は一気に上昇し思わず笑ってしまう。
「…僕が月で、メルツが太陽なのかな?」
小さく呟けば、撫でていた手はいきなりげんこつに変わり、こつんと叩かれてしまった。
「違うよ。僕が太陽ならメルヒェンだって太陽なんだ。陰の存在なんて僕は認めないよ?」
「うん、ありがとう。メルツ」
僕が生まれた理由はメルツを助けるため。それでも今は友人なのだ。この世界を精一杯に楽しまないなんて勿体ない。
おまけ
黒「でもやっぱり僕たちちょっと違うでしょ?だから多分ね…メルツが塩で僕が砂糖だと思う」
白「…はい?」
黒「似てるようで実は全然違うってこと。ちなみに僕が砂糖なのは甘いものが好きだから」
白「やっぱり君の頭の構造がよく理解出来ないよ…」