一番ならいいってわけじゃない



今日は10月10日。朝起きるといつも通り飯が作られていた。新八が『』と言って俺にいちご牛乳を差し出した。朝からいちご牛乳を飲めるのは嬉しい。神楽も起きてきて、ぶっきらぼうに『』というと、酢昆布を投げつけてきた。新八が笑ったのがムカついたのか、新八を殴り飯を食い始めた。ごちそうさんでした。


仕事もないので外に出た。掃除をしているたまがいて『』といわれた。ついでにネジを貰った。歩けば投げかけられる『』に軽く手を挙げ応える。

いろんなやつから『』を貰った。が、パチンコは負けた。財布が軽くなったので渋々帰っていると、新しいケーキ屋ができていた。そういえば今日だったけ。覚えていたら少しは金残してたのに。チラシをもらって眺めていると、ケーキの甘さが恋しくなった。ふらふらしていると、空はもう薄暗くなっていた。万事屋に戻ろうと思ったが、ババアのとこにただ酒飲みによってみる。『』とは言われたが、家賃を請求された。ねぇよ、金。そんなやつにやるもんなんてない。と言われた。仕方なくコップのものを飲み干す。水だと思っていたが、うまい酒だった。もう一杯。トイレの水でも飲みな。なんだよケチ。貧乏人は出ていきな。手でしっしと追い払われ、そのまま万事屋に戻った。

新八は帰ってしまっていたが、夕飯は用意されていた。いつもなら神楽が先に食っちまうのに、ソファに座ってきちんと待っていた。一緒に飯を食べて、食い終われば神楽は押し入れに入っていった。電気を消して、テレビの明かりだけで部屋を照らす。眠くなってきたのでソファに寝転がる。
今日はここでいいや。うつらうつらし始めたので瞼を下ろせば意識は簡単におちていった。


ゆさゆさ、体が揺れる。ゆさゆさ。あぁ、うっとうしい。目を開けると目の前には黒い毛玉が…。あれ?定春って黒かったっけ。

「お、やっと起きた」

「なんなの。つかなんで入って来てるの」

「開いちょったよー。戸締まりはきちんとしちょらんと」

「そうだな。てめぇみたいな不審者が入ってくるもんな」

「酷くね?」

「もういいから。で、何?」

「そんなんもわからんがか?」

「俺の誕生日とか言ったらぶん殴る」

「危うくぶん殴られるとこじゃった」

「なめてンのか?」

「知っちゅうよ。1日後じゃろ」

「じゃあなに」

「本当は昨日のこの時間に来たかったんじゃけんど、計算間違うてのぅ。昼に着いたんじゃ」

「間に合ってんじゃねーか」

「違うちや。
一番に言いたかったき」

「一番最後ですけど」

「けんど、今日言うのはわしが一番じゃ」

「アホか」

「アホやき」

「じゃあ言えよ」

「『誕生日おめでとう』」

なにこいつ。なんなんだよ。くそかわいいじゃねーかチクショー。起き上がりたいが寝起きでだるい。

「今日どうすんの?」

「もう帰るろ」

「まじでか?」

「まじでじゃ」

「今度からそんなのなしで来い。で、一緒にいろ」

「わかったちや」

なんとか体を起こし、キスをすれば、辰馬は照れくさそうに笑った。


ドスンッ

いってー…。目覚めがソファから転落とは最悪だ。外はまだ暗い。辰馬、来たんだよな。多分。あの出来事も辰馬に会ったことも短い夢だったように感じる。いや、夢だったのだろうか。夢なら俺は結構ヤバいかもしれない。

喉が乾いたので冷蔵庫に開けると、白い箱が入っていた。取り出してテーブルに置く。新八がこっそり買っていたのかもしれない。箱を開ければ、ホールのチョコケーキが甘い香りと共に出てきた。どっかの紙切れでみたのとそっくりだった。メッセージを書くチョコ板にはでかでかと「金時くんへ」の文字。

「銀だっつーの」

パキリ、軽い音が響いた。




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銀さん誕生日おめでとうございましたってことで。変な文ですみません!







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