まだ私達が幼い頃、やつは言った。
「面白ければ全てよし。」―――と。



それから数年後、私は順調に大人の階段を上る……ハズだった。



「ぎゃはは、ケツに刺さってやんの」

「湊、てめー。殺す。」

「こら、騒ぐな。」


下品な笑い声を上げる
高原 湊。

拳を握り締め、画鋲を机に叩きつける
水越 蒼。

そして大きなため息を吐き現実逃避する
私、藤倉 優梨奈。



馬鹿な男子2名に呆れもはや彼らには付いていけそうもない。



「ひ、ひっかかったー!」

「危なねぇだろうが…っ。」

「イスに画鋲おく馬鹿がどこにいるのよ。」


小学生レベルの悪戯を繰り広げる湊は
まだまだ、がきんちょだ。

それに冷静(?)に対応する蒼は大人だ。

そしてそんな二人を宥める私は苦労性だ。




この二人とはいわゆる“幼馴染”ってやつだ。

マンガや小説のように幼馴染同士で恋愛感情がある、
なんて事は私達の間には一切ない。

小さい頃からキョウダイ同然に育てられてきたため
もうこの二人は家族の一員のようなものだ。



「優梨奈、一口ちょーだい。」

蒼は湊の相手に疲れたのか私のところへ寄ってきて
私の飲んでいたお茶を取って飲んだ。

「まだいいって言ってないのに。」

「え、ダメだった?」

「ふふっ。ううん、いいよ。」


そう言うと蒼は綺麗にはにかんだ。

王子だな。うん。



「あ!何俺だけ仲間はずれにしてんの…!」

「っ、叫ぶな!馬鹿!」

咄嗟に耳を塞いだものの、よく通る湊の声はうるさい。


「優梨奈ちゃんったら照れちゃって〜。」

「何がよ!」

「いって〜。」

とりあえず湊の頭にチョップを落としておいた。




私の一日は個性溢れる変わり者と始まる。

変わり者、ばんざい。




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