もじもじ | ナノ

彼の笑った顔はジャイロにそっくりだと思った。
いや、笑った顔もだけれど、雰囲気だとか仕草なんか、いっそジャイロがそこにいるんじゃないかと思い違ってしまうほどに、彼はジャイロそのものだった。
でも間違っても彼はジャイロのようにニョホと変な笑い方はしないし、歯だって立派に白のままキレイに並んでいる。髪型も少し、似ているかもしれない、彼の方が幾分かは短いが風に流れるブロンドはジャイロを思い出させるかのように靡いた。彼の家に行くとよくコーヒーを出された。どろどろで小さなカップに入ったそれは旅の中で二人で飲んだそれと同じ味がした。
出身、年齢、職業、聞けばほとんどの項目がジャイロと同じだった。ジャイロと言う名前に聞き覚えがないかと聞くと、ううん、と唸りなった後に覚えがねぇなぁと申し訳なさそうに答えた。
そう、彼はいくら似ていたとしても、僕の親友のジャイロ・ツェペリではないのだ。

ジャイロ、とは誰なんだ?

…親友さ、大事なね、もう二度と会うことはないだろうけれど

そういうと彼はあぁ、ええと、と口ごもりながら眉をハの時にさせた。こういうところはジャイロとは似ていないかもしれない。
こう言うと僕は未だにあの件から立ち直っていないかのように思えるかもしれないが、心は自分でも驚くくらいに晴れ晴れとしている。
ああ、でも、

「名前、お前だって僕の大切な親友なんだからな」

言ってやると、彼は懐かしく愛しい笑顔で喜んだ。
やっぱり彼はジャイロによく似ていた。

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