「…これで満足かよ」 ムスっとした声で言うエクボの顔は案の定不服そうだったけど、その手はゆるく私の背中に回った。驚いた。え、良いんだ。エクボに抱きつきたいからなるべく昔のエクボっぽい身体に憑依してうちに来て?って言ったらモブくんはドン引きしてたけどエクボはこの破廉恥女!!って大騒ぎしたくせに、ちゃんと身体を用意したし抱きしめ返してくれちゃうんだ。やっぱりなんだかんだ言ってこの悪霊は私に甘いんじゃないのかと思う。絶対言わないけど。 「モブくんは普段のエクボに触れるけどさ、私は見えても触れないんだよね」 「ナマエが今触ってるのは俺様が憑依してるだけで、俺様じゃねえからな。」 「えー」 「えーじゃねえよ!だからあんまくっつくなって」 「うーん…もっと触っても、いい?」 腕を首に回して、私の顔がたじろぐエクボの目に映るほど近づく。ドキドキしてるのは私だけじゃない、エクボが乗り移ってるこの身体も、だ。 「だからこれは、俺様の身体じゃねえんだって…」 「え、もしかして妬いてるの?」 「ンなっ…わけねえだろ!この上級悪霊の」 エクボ様が、という唇をさっと塞いで、ゆっくりゆっくりと、離す。見開かれた目とちょっと赤くなった顔でエクボはおま…?!とかなんとか言ってる。小さな抵抗を見せたエクボの手は、身体を引き離すでもなく私の両肩を遠慮がちに掴んだままだ。 ならば、私は更に追い打ちをかける。 「エクボが好きなの」 「っ…ナマエ…お、俺様は…」 「だからこんな機会ないからもっと触りたいし、エクボにも触って欲しいの。ね、」 お願い、とエクボに告げた時にはさすがにもう恥ずかしくなってきて、最後は少し小声になった。顔が熱い。赤くなってる顔を見られるのは負けた気がするので、うつむく。 「……どうなっても、知らねえぞ。」 え、良いの。思わず顔をあげると、私がした時よりもぎこちなく唇が合わさる。ゆっくりゆっくりと、一旦離れてエクボ、良いの?と聞けばうるせぇ、と言われもう一度キスをする。今度は同時に、先程よりも長く。エクボはぐっと力強く私を抱き締めた。 ドキドキしてるのは、やはり私だけじゃない。 「…ちょっとエクボ様、私の太ももになんか当たってるんだけども」 「ばッ…?!脊髄反射だクソ!!!」 ◇エクボ(憑依)とスキンシップ リクエストありがとうございました! |