ただしい答えなどさして無い



父親、父親、父親…。最近そのワード多すぎて飽和しそう。それはともかく、うちはシン、ざまあ。自分の作ったクローンに廃棄物扱いされているのは流石にどんまいだが、ボコボコにされた跡がここで何があったのか如実に物語っている。どう考えても相手が悪かった。
サラダとうちはサスケは思い他何事もなく、サクラさんを救出することに成功したようだった。というかサクラさんは自力で脱出し交戦していたらしく、そこに二人が助太刀した形になるようだ。別に救助とかいらんかった。七代目とチョウチョウと私は後からそこへ辿り着いた。ちょうど、クローンがうちはシンの体に大量の刃を突き刺した瞬間だった。体が短く痙攣を繰り返したかと思うと、うちはシンはピクリとも動かなくなる。本当に死んだのだとしたら、私は初めて人が誰かに殺される瞬間を見てしまったことになる。おええええ、え…気にしてるの、私だけ?ま?口元をちょっとばかし抑えたが今日は何も食べておらず戻ってくるものがなかった。

「父様の瞳力はもう弱い。これからはオレたちが進化させる。それが一番合理的」

うちはシンの言い分はそういうことだった。その隣のうちはシンやその隣の隣のうちはシンも頷く。さらにデブのうちはシンやガリのうちはシン、大柄のうちはシ…めんどくせぇとにかく大量のうちはシンがいた。これらはクローンのクローン…つまり彼らは自我を持って、自らで繁殖したということだ。すっごーい、君は分裂が得意なフレンズなんだね!「お前たち、オレが、オリジナルだぞ…」あ、まだ生きてた。

「クローン多いししかもデブだし」
「うまくできなかったってこと…?」
「なるほどなぁ」

クローン精製とは卑劣な術だ…。
うちはシンはイタチの意思を継げるのは俺だけだとかなんやかんや言っているが、暁復活とそのうちはイタチという人の意思になんの関連性があるのだろうか。暁といえば第四次忍界大戦が起こったあたりの時代で有名な犯罪者集団のはず。そういやこいつの着てる服それだわ。授業の資料集に載っていた写真の様子がぼんやりと頭の中に浮かんだ。しかしもうボロボロなうちはシンには、この状況をひっくり返すような方法はないようで、悔しげに奥歯を噛み締めている。いやー、私は全然戦わずに済んで助かった。よかったよかった、とほっと一息ついていると、腕に怪我をしてしゃがみこんでいるサクラさんの側に怪しげな影がちらつくのが見えた。そろそろあの珍妙な姿にも愛着が湧いてきたところである。そんなところにいたのかうちはくん。そしてやっぱり逃げる算段かうちはくん。これで3度目ともなればさすがに引っかからない。私はサクラさんに逃げるよう促した。

「サクラさん、後ろ、後ろ!」
「え?」
「くく、ここ一旦引かせてもらう。医療忍者、お前には一緒に来てもらうぞ」

しかし一歩遅かったのか、またあの時空間忍術とやらが発動しようとしている。また逃げられたら今度は追いつけるかわからない。助けようと地を蹴ったのは七代目やうちはサスケだけではなかった。サラダもまたうちはくんが時空間忍術の使い手であることを悟ったのか、一直線に向かっていく。邪魔立ては許さない、と虫の息のうちはシンの術が発動する。刃がサラダに向かう。

「邪魔をするな!うちはの小娘が!」
「ママは私が…」

サラダは写輪眼を開眼していた。写輪眼はあらゆる術を見抜き、同時に動体視力は並のそれではない。「守る!」うちはシンの放った攻撃は完璧にサラダに見切られていた。首を僅かに逸らすことでそれを回避したサラダは、「しゃーんなろーがあ!」とサクラさんお得意の掛け声とそっくりの叫びをあげながらうちはくんの顔面に拳を叩きつけた。割れる地面。ぷち、と嫌な音を立てながら一つしかない目を潰されるうちはくん。グッバイうちはくん…惜しい奴を亡くした。なぜか親しい友を失ったかのような消失感に包まれながら、私はうちはくんがいた場所に向かってそっと合掌した。それと同時にうちはシンは力尽きたようで、がっくりと首の力が抜け落ちる。どうやらうちはくん自体がうちはシンの一部であったようで(分身体のようなものだろうか)、それを失った身体はもはや抜け殻と化したのだ。残ったクローン軍団も七代目が何やらぼそぼそと呟いたかと思うと一気に大人しくなって、戦う意思を失ったようだった。つまり任務は全て完了である。
私とチョウチョウはサラダの元へ駆け寄った。「うちはってやっぱすげーじゃん!怪力だし!」とチョウチョウが興奮気味の傍で、私は粘土のように形を歪ませたうちはくんを拾い上げた。

「サラダ、目がパパと同じじゃん」
「うん…」
「サラダ!」

サクラさんが腕の傷もまだ治りきっていないのに、サラダに駆け寄って力一杯抱きしめた。苦しげに唸るサラダだが、その顔はとても穏やかなもの、やっぱりこれは親子の問題だったわけだ。うちはサスケのことはいまだにクズと思っているものの、私は空気を読むことにした。うちはサスケもまた遠くから、サラダとサクラさんを見ているようだった。

「パパとママは本当に気持ちがつながってるの?」
「ああ」
「なんで、そう言い切れるの?」

「お前がいるからだ…サラダ」
親子の形には、色々あるらしい。
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