ご愁傷さま、アーメン



敵の本拠地へ向かう道中、というか空中でサラダはしきりにうちはサスケの方をチラチラ見ながら何か思案している様子だった。き、気まずい。父さんの箸を怒りに任せてへし折った時並みの気まずさだ。母さんとの新婚の思い出とか知らんがな。他人の家庭事情ほどめんどくさいものはなく、それが友人ともなればなおさらだった。委員長なんかアドバイスくれ。でもサラダのことなので、勝手に自己解決しそうな気がしなくもない。サラダが本当に無理なら無理と言える人間であるのはここ数ヶ月のアカデミー生活で分かっている。考えた末に、私は一先ず見ないふりをすることにした。それに、困っているというより悩んでいるように見える。辛い、とか、悲しい、とはまた違う気もする。
今はそう言ったお悩み相談より、目先にある敵の本拠地に目を向けるべきだ。あまりにも里から離れてしまったが決してこれは社会勉強などではない。寧ろ忍者的にも危険な場所じゃねぇか。テロリストと真正面から対峙するとかマジ勘弁な。そういう意味では最初に戦った時よく死ななかったと思うね。里の周辺の警備どうなってんの仕事しろ木の葉。

「そうだ、ナマエの目はどうだったの?」
「別に何もなかったよ」

サラダが不意に横を向いて話しかけてきた。何もなかったというか完全に私の技量不足なので、あえていうことでもないと思った。

「やっぱり?大袈裟だったんだ恥ずかし〜」
「それを言うな…」
「でも、本当に大丈夫なんだよね」
「うん」

「ただの使いすぎ」と正直に白状しておく。

「ならいいけど…隠したらタダじゃおかないからね」
「サラダこそ…いや何でもない」

お口ミッフィーにしとくわ。
うちはシンの本拠地に辿り着くと、あの落ち武者は消えていく。また、洞窟のようなところにアジトを構えているようだ。なぁみんな穴掘るの好きなの?先ほどと違い鍾乳洞のようでもあるが、ともかく、さっそくそこからわらわらと敵が飛び出してきた。一番最初に戦ったあの少年そっくりの見た目で何人もいる。これがクローン、というやつ。まったく同じ顔が多いとはてしなく気持ちが悪い。
先行した七代目の分身体が手早く敵を相手取っている隙に、隣にいたサラダが特攻とも思えるような敵の合間すれすれを掻い潜る動きを見せた。流石は我がクラスの優等生、実戦でもまったくビビらない。それを追ってうちはサスケもアジトの奥地へと向かっていく。本来なら感動的な場面だが、今私の中でうちはサスケ=ヤリチンクズ野郎なので、何をしてもクソにしか見えない困った。とはいえ私が追ったところでな、アカデミー生とアカデミー生で凶悪犯の根城に飛び込んだらどうなると思う?答えはデスオアデスでファイナルアンサーだ。だから私とチョウチョウは大人しくここでイケメン七代目の戦闘シーンを拝ませてもらうことにする。きゃーかっこいー。歴代最強の呼び声も高い七代目の戦いなどそう見れるものでない。ただいかんせん相手の数が多すぎるので、たまにくる流れ弾ならぬ流れクローンを体術のみで受け流す。大蛇丸さんの嘘か真かわからぬ言葉にだいぶビビっている自分がいる。もしやりすぎたら目が破裂とか…まぢ無理…。

「ど、ど、どうしよ、あちしは!?ひー」
「私の背中に隠れてな」
「きゅん…とかしないわ!あちしは七代目の後ろにいる!」
「七代目、私、チョウチョウの順番。これで完璧だ…」
「ナマエだけな!」

「こいつら敵なんしょ?早くやっつけちゃえばいーじゃん」とチョウチョウが訴えると、「いや、こいつらはシンを父様と言っていた」と七代目はかぶりを振った。

「親が子供にこんなことさせちゃ絶対になんねーんだ」

クローンなのに父様とはこれいかに。何、クローンとは元と同一人物なのではないのか!?そこらへん私の理解が追いつかないが、とりあえず七代目はこのうちはシンたちクローンズを殺すつもりは一切ないらしい。しかしそれは倒すよりも難しい芸当だろう。私ぐらいの技量だと殺したくても殺せないが七代目なら簡単だ。できる人が抑える方がよほど難しいはずである。

「任せろってばよ」

見上げた私がさぞかし不満そうな顔をしていたのだろうか。ぽん、と頭に手を添えられた。七代目はどうやら子供の頭に手を乗せるクセがあるらしい。まあ、七代目がそういうなら大丈夫なのだろうと思って黙っておくことにする。どのみち、私が役立たずには変わりないのだから。
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