知らねえよ。そうゆうとこだよ。



「てな感じで、忍術科に入学しました」
「あちしが言うのもなんだけどさー、あんたってちょー適当だよね」
「やっぱそう思う?私も自分で意思弱すぎんよーとは常々」
「直ぐに忍者になるわけでもないんだし、選択肢の幅を広げる意味ではいいんじゃない?私としては、そんな不純な理由で入ってきてほしくはないけど」
「サラダは火影目指してんだもんね。凄いわー、私は一生下忍でもいいや」
「なに、結局忍者になるわけ?」
「んー、悩み中」
「あちしは猪鹿蝶でどーせ組まされるし、ナマエも日向なんしょ?」
「私は分家から家出した父さんの子ってだけだし、本気で嫌がれば別に……」
「で、選べるから逆に悩むと」
「そういうわけなんだよ」

学校帰りにハンバーガーを貪る少女が三人。チョウチョウとサラダ、私は基本三人でつるむことが多いので気心知れた仲ではあるが、お互い難儀な家庭事情を抱えている。いや、私とチョウチョウは別に大した話でもないんだけど……気持ち的にね?多少はね?
なんとなく入ったアカデミーで出会った友人たちのことを考えれば並々やめ難い。ぐでってテーブルに顎を乗せて窓の外を見る。……ん?あそこで屋根の上を走っているのはボルトでは?見慣れた黄色い頭が颯爽と駆けていくのを指差して、「ねえ、あれボルトじゃね?」とサラダに声をかける。

「ほんとだ。また何してんのかしら」
「あの馬鹿……また問題起こして七代目に迷惑かけるんじゃないでしょうね!」

私とチョウチョウはポテトを食べながらボルトが去っていくのを無言で見送ったのだが、ボルトの幼なじみで何かと突っかかっているサラダは我慢ならなかったらしい。目を釣り上げ「しゃーんなろーがー!」とおきまりの掛け声とともに一目散に駆けていった。あいつら絶対デキてんだろ……というのは本人に言うと怖いので心の中だけに留めておいた。
サラダが去ったあとの空間は、なんとも言えない静寂に包まれる。

「……私たちも帰ろうか」
「そーね。なーんか白けちゃったし」

ずごー、とジュース最後の一口をストローで飲み干した。私とチョウチョウは同じタイミングで立ち上がって無言で拳を付き合わせる。持つべきものはやはり、一緒に帰ってくれる友人であった。
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