だって好きじゃなかったんだもおん



絶賛、うまいこと陽動作戦に成功し現れた犯人と思しきフードを追跡中。展開が早い?私もそう思うがそこらへんはあれだ、パニクっててちょっと時間の感覚がずれているせいだ。
面子は私、チョウチョウ、いのじん、メタル、ミツキ君。それからはい残念でした、嫌な予感は当たりましたー以上解散。おうおう委員長、そりゃないぜ。私は若干予想してただけにショッキングなその事実に余計打ちのめされながらも天を仰いだ。それで残りのメンバーはゴーストに取り憑かれたコマメさんを相手取っているのだが、一方こちら、委員長おま、めっちゃ早い。普段のおっとりとした彼女からは想像もつかない俊敏さで、油断すると距離を突き放されてしまいそうである。と言ってもチョウチョウといのじんは既に脱落していた。ミツキ君はどこかへ消え、今はこの中で比較的足の速いメタルと私が曲がりくねった裏路地を駆けている。いくら影に隠れようが白眼ですぐに見つけ出せるため、油断しなければ確実に追い詰めることができるはずだ。そう、できるのだ。仮面の下がクラスメイトであったという事実を私が受け入れさえすれば、だが。
第一よ、ちょっと怖いもの見たさで仮面の下を覗いてしまったのが運の尽きだったんだ。そりゃね?私もね?アカデミー関係者なのはわかってましたよ?それがさ、まさかクラスで一番まともでおまけにこのあいだの被害者本人だとは思わねーよ。このクラスマジでまともな奴おらんかったんかい。一番ヤベーの委員長かよ!と私はゾッとした。今までのは友情笑だったんか?そりゃねーぜ。

「逃がしませんよ!」

メタルが先行して委員長を追う。やれやれとため息もつきたくなるが、委員長が水面に向かって逃げ出したので咄嗟にやられたと思った。私たちはまだチャクラコントロールが未熟で水面を歩くことはできない。しかしそれを忘れてんだか知らないが元気よく突っ込んでいったメタルを尻目に私は足に急ブレーキをかけた。委員長はそのまま下水道につながるトンネルへと消えていく。白眼で追うことはまだできたのだが、なんとなくやめてしまった。同情?いいえ、現実逃避です。どっちかというと私のメンタルがもたねぇ。

「あーあ、逃げられちゃった」
「ぜー、はー、もう、あちし限界……」
「でもナマエならまだ追えるよね……ナマエ?」
「んう?」
「どうしたのさ。なんからしくなくない?」
「そんなことないゾ」
「本当に…?」
「本当だって」
「…ふーん」

いのじんからの訝しげな表情にいたたまれず、私は目線を逸らした。委員長が犯人とまだ決まったわけではない。敵が個人とか誰も言ってないし下っ端で無理やりやらされてる可能性もあるわけだ。ここで私が下手に騒ぎ立てて、委員長の立場を悪くしても申し訳ない。空気を読める女名字ナマエ、その力を使う時が来たようだな?私は何も見なかった、いいね?あっはい。ひとりノリツッコミにも限界はあった。果てしなく虚しい。
その後はチャクラが切れたとか範囲から外れたとか適当な言い訳をしてその場をやり過ごしたのだが、正直かなり苦しい言い訳だった。だが、聞いて〜犯人委員長だった〜とか言えるか?無理だわ。絶対誰も信用しねえ。普段の行い的に私の方が疑われる未来が容易に想像できる。自業自得すぎて笑えない。助けてサラえもん……なんでサラダ今回いなかったの……。

「ひょっとしてナマエ…」
「さぁさぁ帰ろうか!」
「賛成〜」
「皆さんボクのこと忘れてませんか!?助けてくださいよ!?」

いたんかメタル。そういや溺れてたな。
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