知らんぷりも疲れんですよ



病室の扉をボルトが勢いよく開ける。すると扉の前にいたメタルが勢いで吹っ飛んでいった。何してんだお前……。
頭に包帯を巻いた委員長は病室のベッドに体を横たわらせ、先に来ていたクラスメイトたちに囲まれていた。わさびとなみだは委員長より軽傷らしくすでに歩けるまでに回復しているようだ。木の葉の医療は優秀なので多分委員長も一週間かからず退院できると思うが、まさか狙ったかのように私の配達場所の真反対でゴースト事件が起きるとは思わなんだ。しかも今回は職業体験中の委員長たちが巻き込まれたのだった。どうやらその場は七代目によってことなきを得たらしい、やっぱ子供だけで事件を解決しようとかやめた方がいいだろこれ。怪我人まででちゃ流石にお前ら頑張って〜とも言えない。そうしたら私の責任問題まで問われるからね?面倒、ダメぜったい。シノ先生もまさか自分の企画したイベントでまたもや怪我人が出るとはと落ち込んでいる。ま、この面子で問題起こらなかったことないんで気にしなくてもいいと思うゾ。「すまねぇ委員長、オレがもっとしっかりしてれば…」と珍しく頭を下げているボルトは、シカダイによるとあの時現場の異常を察知して飛び出していたらしい。 ほーん、やっぱりあの謎の黒い目とやらのお陰なのかね。私がニュースを見て一応犯人が来ているかもとのんびり到着した時には、事は終わった後だった。その後も騒ぐボルトが、何かを察した様子のサラダに引きずられ病室から追い出される後ろを、私、シカダイ、ミツキ君は追った。

「で犯人?を見たんだって?」
「ああ、仮面をかぶってたから素顔はわからなかったようだが、これでナマエの白眼が有効になるな」
「犯人がこっちに日向がいるって知らなければね」

お、ミツキ君相変わらず怪しい言動していくぅ〜。すっかり意気消沈した様子のボルトを他所に廊下で私たちが話し合っているといつの間にか背後に七代目が立っていて、「ボルト」と低い声で名前を呼んだ。おう、久々に本気でびびった……。

「着いてくるんだ、お前たち」

ひえ…。
気迫のすごい七代目に連れていかれた先は、病院の集中治療室ともいうべき場所を除くことができる廊下だった。チャクラ不足でシワシワとか何それ怖い。サラダの母さんであるサクラさんが、先ほどの騒動の犯人を医療忍術によって治療している様子を伺うことができた。
ちなみに医療忍術って血族とか関係なく才能だけで決まるんでしょ?だからサラダもやたらとチャクラコントロールがうまいのだ。やっぱ、そういうことなんすねぇ。そんな関係ないことを考えてぼーっとしている間に七代目がボルト…と私たちに説教をしていた。言ってることがごもっともっていうか全面的に支持できるのでその調子でボルトたちの鼻をへし折ってやってくれ。しかしそんな私の祈りは届かず、やって来たシノ先生が「こいつらの事は担任であるオレが一番よく理解しているつもりだ」とかっこいいこと言ってくれちゃって、ボルトが調子乗って「そうだ!」とばかりにシノ先生に熱い視線を送った。まずい。まずはアカデミーを卒業しろ、と七代目。そうだそうだ。なんか指摘が未だ嘗てないほど正論すぎてやばいな。おかしい、この火影かっこいいぞ?

「シノ、こいつはまだ子供だ。分別のつく年じゃねぇ」
「そうかもしれない。だが、子供は時に大人以上の活躍を見せることもあるだろう。大人と同じ扱いをしてやれば、な」

沈黙が痛い。あの、自分もう五時なんで帰っていいっすか?明らかに集中力が切れていた私の足を何かとこっちのサボりに目敏いシカダイが思いっきり踏みつけた。あの、うちのクラスで一番私に暴力的なの実は君だったりする?そうこうしているうちにシノ先生と七代目は纏っていた雰囲気をふ、と和らげて、お互いに不適に微笑んでいた。そういやシノ先生って七代目と同期だったわ。

「……ふ、そこまで言うなら、シノに任せるってばよ」

一方私は足の痛みに悶絶していると、どうやら分身だったらしい七代目がぽん、と煙を出して消えてしまった。あああ〜、最後の砦が。こいつらの独断専行をあんたが止めなくて誰が止めるんだよ。ずん、と私が落ち込んでいると「大丈夫か?」といけしゃあしゃあシカダイに肩を叩かれた。おめーそりゃ戦争になるぞ。忍界大戦勃発も辞さない覚悟である。巻き込まれここに極まれり、他の三人が意気揚々とこれで堂々と捜査ができることに喜んでいたのだが、私はなんだか嫌な予感がしていた。ゴースト事件があまりに私たちの行動を悟ったかのように正反対の地域で起きすぎていることもそうだが、なんか…、現場、やたらアカデミーと近くね?
これだけでもうフラグがビンビンな気がして私の胃もたれが悪化するが、テレビの見過ぎであることを祈っても大概こういう時外れないんだ…。作戦の見直しも結構だが、なんか気づいてはいけない真実、見つけちゃいそうじゃないか。

「帰りてぇ」
「ダメだ、こっからがナマエの出番だってばさ!」
「うい……お手柔らかに…」
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