わたし、謎



大概私が巻き込まれるときのきっかけはサラダかチョウチョウなのだが、ランキング的に三位にいるのはボルトである。理由は言わずもがな察して欲しい。そのボルトに腕を引っ張られて、私はズルズルと引きずられていった。連れていかれた雷バーガー店の中にいたのはシカダイと雷門君。私が呼ばれた理由が分からず眉間に皺を寄せていると、「ナマエが白眼発現したのいつだってばさ!」と詰め寄られた。近い近い近い、もうちょっと離れろ。
すぱん!と頭を叩いてボルトを席に座らせて、私は頬杖をついた。白眼のことならヒナタさんに聞けばいいと私が言うと、「もう聞いたってばさ。でも全然納得できてねーし、これ以上聞くのも癪なんだ!」と、それでクラスメイトで白眼使いの私に聞きたいことがあるらしい。まあ、私に答えられる範囲内なら質問くらい構わないのだが、その代わりハンバーガーを奢ってもらおう。そう言うと雷門君が「僕が出すよ!」と言ってこんもりとハンバーガーを注文しだした。おま、ボルトの舎弟か何か?パシリ卒業したとか言ってなかったっけ?

「私が開眼したのは三年前で、突然だったからあんまし実感なかったな」
「ナマエは今まで修行とかしてなかったんだよな?」
「父さんが日向の出ってことすら知らなかった。だからみんなと違って手裏剣のコントロールとかクソ下手なんだよ」
「でもナマエちゃんって体術のセンス凄いじゃないか!これで何年かしてチャクラコントロールのコツもつかんだら、凄い忍者になれると思うな!」
「おおう、雷門君に言われるとなんか説得力あるな」

「ふうん。とにかく、なんの前触れもなく発現するのは全然ありえるってことなんだな?」ボルトの言葉に自分がそうだったので頷くと、懐から取り出したサングラス(なんだそのデザイン)を装着して胸を張ったボルトは意気揚々とどこかへ向かっていった。風のように過ぎ去った一連の流れに私が唖然としていると、それを見かねたシカダイが私の疑問に答えてくれるようだ。シカダイによるとボルトは日向亭で白眼の鑑定をしてもらうのだとか。

「前、影みたいなのが見えるって話したろ?」
「ああ、うん」
「それがボルトにしか見えないって言ってんだけどよ。今日の朝目がおかしなことになってたんだと」
「目」
「それが白眼だって言って聞かねーんだ。オレからしたら、この間ナマエが見えてねー時点で違うと思うんだがな」
「ナマエちゃんの白眼ってチャクラの流れが見えるんだよね?」
「戦うときに敵が体のどこを動かすかもわかるし、壁の向こうまで見えるって親父に聞いたぜ」
「おうよ。熟練の白眼使いは点穴っていうチャクラの出る穴まで見極めるし、これを突くのが八卦六十四掌っていう技。まあ私には無理ですわな」

今んとこ不可能でーす。かつては分家に生まれながらも独学でその技を習得した天才も居たらしいが、あいにく私にはそれほどの才能もなければ、向上心もないのである。大工一族譲りの怪力と、白眼の眼力でなんとかやっているだけで実際の私は大したことない。過大評価はしないでくれ。しかし貴重な血継限界持ちにはかわらないので、この才能のせいで私は忍になるか迷っているわけだが。
それとも何か強烈なきっかけでもあれば決断するのかもしれない。しかし前にサラダとチョウチョウに言った通り基本ゆるーく生きてる身である。こんな風に私は私で、それなりに悩みもあるのだ。

「はぁ」

私は誰にも見られないように、こっそりとため息を吐いた。「でも」

「もし本当に白眼なら凄いよね」

と、その瞬間いきなり隣にミツキ君が現れた。あばばばばばば!私は椅子からずり落ちながらおまえ本当に神出鬼没だな!と思わず罵倒したくなったのだが、当の本人はどこ吹く風、という様子だった。てめえ。そんなんだから以前としてミツキ君は、私の中で苦手な部類に入ってるんだゾ。
あ、あと白眼は基本的になればクッソわかりやすい瞳術なのだが、てかそもそも発現する人の特徴として極端に色素の薄い瞳が挙げられる。例外はあるが、それを差し引いてもボルトおめーは、どう考えても出なさそうだってばさ。あともう一つ根拠がある。修理業者の男が暴れているときに一瞬だけ見たあの真っ黒なボルトの目が、私には間違っても白眼だとは思えなかったのだ。

「まあ、私には関係ないない」
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