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『ふんぬーっ』
縁側で仰向けでぐーっ、と伸びをすれば自然と背筋が伸ばされた身体が楽になる。
目を開けば入る青い空に白い雲。ため息がでそうなぐらい爽やかな朝だ。時折鼻を擽るのは春のにお、い――?
『臭い、』
春の匂い?ばか言え。何だこの悪臭は、鼻がもげるかと思ったよ。
「…朝、父親に会った早々それか。オメェは」
『ああ、どっかで嗅いだ事ある異臭と思ったらアンタの足か』
「前置きもなく失礼な事言うな」
『え、じゃあ前置きあればいいの?今から失礼な事言っていいですか?』
「ふざけんな」
なに、前置きあってもだめなの?そういう問題じゃねェ。どういう問題なんだ、そう返したら「育て方間違えた…!」とうなだれやがった、畜生。私のように可愛いらしい性格の子供なんて中々いないだろうに失礼な奴め。…何だよ、その目は。
青い空に覆いかぶさるように私の視界にある無精髭のおっさん。そして私の頭近くにはくっさい足。このくっさい足が近くにあるせいで私の爽やかな朝は台無しになった。
『何か用?』
「あー…。ほら、オメェ新しいシューズ欲しいつってだろ?」
『え、ま、まあ、』
「……ほらよ、」
ひらりひらりと私の前に舞い降りてきた福沢さん家の諭吉くん。それを掴んで見上げればふい、と顔を逸らすお父サン。
『…お父サン』
「へっ、お礼なんて――」
『福沢さんもう一枚ちょうだい』
「…………………」
『足りないんだけど』
あれ、なにその目は。