「挨拶しろ」
『…越前空夜』
あんたは私の親かっての。いかつい顔で見てくる副部長に唇を尖らしながら渋々口を開けばざくざくと痛い視線が突き刺さる。…男に見られてもいい気はしない、それもあまり好意的じゃないものは特に、ね。
真田さんは私への視線に気付いていないのかすっと前を見据えていた。
「さっきの試合を観ていた通り空夜は俺より強い」
まあ、当然っちゃ当然だけどね。
「一年生だろうが女だろうが強者が上にのぼるのは王者立海では自然の摂理」
うん、当然っちゃ当然だけどね。
「故に、越前 空夜をレギュラーとして迎えいれる!」
うん、だから当然っちゃ当然…ぇえええええ!?
「異議は認めん!」
異議ありっ!本人が異議あるんスけどッ!いや、まあ今年度中にはレギュラーになろうとは思ってたけど…というかならなきゃいけないんだけど。入部早々っ!?
いやいやそれは無理があるスよ。神経が土管並みに図太いと言われる私でも無理がありますよ。
何で気付かないの?この視線に…!あんたが変な事言った途端、視線が鋭くなったよ?!流石の私にも耐えるものがある。気付かれないように特に視線が強い奴を見る。
…何か凄い嫌悪にまみれた目なんスけど。ひとり嘆息した。