あれから何とか粘りに粘って通う事を許してもらえた。(まあ青学なら登校拒否してやるなんて言われたら仕方ないかもしれないけど、…我ながら子供じみてたな)
そして今日は立海大附属中学校の入学式。きっと今は生徒氏名呼びをしているところだろう。大きな声で元気よく返事する声が此処まで聞こえる。
「――越前 空夜」
「「…………………」」
「?越前 空夜?」
「っ!坂口先生!越前さんがいません!!!」
「なっ、ちょ、は、まじスか!?」
…同姓同名なんて探せば五万と…いや流石に五万といないけど二人ぐらいはいる。だから決してあれは私の事じゃない。うん、全く関係ない。よし、
「越前空夜ぁあああああああ!!」
……、寝よう。叫び声を無理矢理子守唄にし私は瞼を下ろした。
×××
ピピピピピピピピピ
『ふわぁ、』
口端から洩れる欠伸をそのままに重たい目蓋を痛くない程度に擦った。
……寝たりない。瞳が気怠げに下がるのを感じる、正直まだ寝たいけどこのまま寝たら夕方まで寝ちゃいそう。
ふう、と重たい息を吐き気合いを入れ直すようにぱちん、と頬を強めに叩いた。…ちょっと強く叩きすぎたかも、じんじん痛む頬に顔を顰めつつ未だアラーム音が鳴る携帯をとる。
『……10時か、テニス部に行ってみるか』
とは、言ったもののテニス部ってどこだ?地図なんか持ってるわけもなく(持ってても読まないけど)先から迷っている、さっきから保護者辺りからずさずさと感じる視線。職員室に届けようかしら、とかやめて。一生の恥、というよりかサボった事に説教されるに違いない。それだけは避けたい。
まるで刺すような視線にそそくさと逃げるように歩く。
しっかし、本当どこにあ
「きゃぁああああああ!」
あった。やばい、今ならミーハーを好きになりそう。漸く脱、迷子。ミーハーまじ大好きだよ、今だけ。
【悲鳴を聞いたら近場にテニス部!】
そんな看板が私の頭の中には掲げられている。間違ってはいないだろう。