田中くんが気になる。好きになるきっかけなんてそんなものだ。そんな好奇心に似た何気ない気持ちで田中くんに動物が苦手なの、なんて言ってみた。飼育委員の彼は意外と普通の反応で、私が動物を苦手なのを理解した後、しかし、でありながら、だからこそ、とあの厨二全開で説明した。「尊い命を愛でられてこその愛玩動物」そう頭の中ですとんと入り、納得した。私みたいな人間なんか、貴方に飼われたいと思ってしまったら終わりだね。きっと人間として接して貰うより、生き物としての概念で愛された方が、短い間に沢山気にかけてくれそうですもの。歪みは更なる歪みを生み、好きと言う思いは愛になるのだ。一度ハマればおしまいなのです。


「フン、プライドを無くした愚者め」

いつからか、人間を止めてしまおうと人生を諦めたのだろうか。諦めたのではない、ある人に愛玩される為に、こうなった。見下ろす2つの瞳は左右別の色で、首輪を持っていた。その赤い首輪は私が前に可愛いと言っていたちょっと高いやつだ、と喜んでいたら乱暴に髪を掴まれて手慣れた動作で装着した。飼い犬でもない飼い猫でもない、家畜?いや、家畜ってもっと格下な気がするし奴隷とでも言っておこう。こうして晴れて私はこのお方に飼われる事になった。気に入らない事があれば激しく抱き、気分が良ければあんなところまで毛並みチェックとかそんな感じでお手入れしてくれる、とても素敵な飼い主さま。一生死ぬまで私の事を見てくれるなんて、幸せです。


その穢れを知らない口でもっと罵ってくださいよ、ねえ。


「と言う訳で田中くん、」
「薄気味悪い戯れ言をこれ以上言ってみろ…貴様の存在を今すぐ俺の中で抹殺するぞ」
「この首輪で、私と契約してくださいまし!私が幸せになります!」
「お前を幸せにする義務が生じた訳でもなく、契約する気もさらさらない。…ぐ、失せろ!」
「100歩譲って破廉恥ライフは無くても良いから、首輪だけでも良いからつけてくださいはあんっ…」
「頬を染めるな気色が悪い!散れ!」
「うっ、そんな汚物を見るような瞳でこっち見られると興奮しちゃいます…あんっ」
「!!」
「やめてやれ、田中のライフポイントはもう真っ赤だ!」

なんだか現実は契約もしてくれない罵ってもくれないしでつまんない、どっかの小説で読んだつまんないオチみたいです。

「田中くん、じゃあじゃあ私の事指差して雌豚って言って…?」
「凡人が喚くなよ…こっちへ来るな!」
「あ、逃げた」



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眼蛇夢さん口調分からなくて後回しにしてましたすいません 誕生日おめでとうございました…


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