「…大統領になりたい」
「なってどないすんねん」
「うん?人の前に立って好きなこと言いたい」
「ナマエの頭の中の大統領はえらい自由人やなー」
「オバマさん素敵」
「俺のほうが男前やろ」
「自分で言うなや」
「で、いきなり中二病なって…なんかあった?」
「なんもないで。バイトが週七なだけや」
「あー現実逃避か。やからってなあ、いきなり『大統領になりたい』はないやろ」
「どーやったらなれる?」
「まず、日本では無理やなぁ」
「…………せやなあ」
「それにナマエ、大統領なったら俺に会えへんやんか」
「くらあ?蔵は別にええよ、写真見る」
「そして感傷に浸る」
「誰が浸るか」
「俺」
「うああああ、めっちゃ泣ける、あたしアメリカには行かんっちゅーか、蔵の近くずっと居るわ!」
「そうしとき、世の中に迷惑かかるしな」
「蔵ぁ、」
「なん?」
「おなかすいた」
「……俺これからデートなんスけど、ナマエサン」
「ええええええ、あたしの了解なしになに勝手に彼女つくっとんねん!えっ、可愛い?!」
「俺のほうが可愛い」
「ちょ、あたし大丈夫?!」
「なにがや」
「挨拶せな、『いつも蔵ノ介がお世話になってますー』て」
「ハハハハハ、おまえ俺のおかんか」
「どーする蔵!おかん、大統領や!」
「諦めてなかったんかい、大統領」
「自慢やろ、おかん大統領て、うは爆笑」
「ナマエテンションおかしいで。お家帰ってもう寝ろや、な?」
「おーなーかーすーいーたー」
「ほんならナマエも一緒に飯食うか?」
「えぇ、ラブラブなお二人さんのお邪魔できひんよ、あたしそんな野暮なやつとちゃうで」
「ほなどないすんの」
「お金ちょうだい」
「俺はおまえのおかんか」
「形勢逆転!」
「ああおかしな言葉ばっか覚えよって…まともな日本語も喋れんくせに大統領なれるかっちゅーねん」
「蔵ぁ、」
「ハイハイ、ナマエのその声、なかなかグッとくるからあんまり使うな」
「あたし置いてっちゃ、いやや」
「いやもなんも…、せやからナマエも飯食おーって」
「デートなんやろ」
「デートやで、」

「しらいしぃー」
「謙也とな」
「謙也くん!!」
「嫉妬した?」
「うんうん!やって蔵に彼女できたらあたし、だれに世話見て貰えばええかわからんもん」
「やから俺はおまえのおかんかて」
「イエー、謙也くん!謙也くん!」
「やっぱりナマエちゃんも居った」
「やっぱりってなんや?」
「白石との約束にこの子居らんかったことないやろ?」
「…………せやった?」
「さあ?」

あたしに聞かれても、わからん。


(141020 執筆)
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