フェラーリの魔法。




恋と言うものは人を変えると言うけれど、全く持ってその通りである。まさかこの俺がこんな事をする羽目になるなんて、1年前の俺は想像していただろうか?いや、してない。してるわけが無い。だって、だって、俺はシズちゃんとキスだって出来ないと思って居たし、まさか、ね、セックスなんて。持っての他だろ?だから、之はきっとシズちゃんが、俺に掛けた魔法だ。何時か、解けてしまうかもしれない魔法。俺を盲目にして、シズちゃんしか見えないようにした、そんな、恐ろしくて、醜くて、恋しくて、愛おしくて、きらきらして、どろどろした、そんな魔法を。シズちゃんは俺に掛けたんだ。

「ん、ぅ、…ぅ、っふっ、んん、っ」
魔法は何時か解ける。従って、こういうときは先手必勝というものが一つの手となる。之が先手必勝と呼べるのか定かではないが。コレが俺の口の中にある限り、シズちゃんは俺から逃れられない。もしこのタイミングで魔法が解けてしまったとしても、コレを食い千切る勢いで噛んでやる、と脅すくらいの材料くらいにはなってくれる、かも、なんて思った。俺ってずるいね。うん、ずるいんだ。だって、俺だもん。俺って嘘と悪辣で出来てるから。神様がそうやって創ったから。だから、君も許してよ。俺は君に恋するように出来てるんだから、しょうがないって、笑ってよ。
「……おい、集中しろ」
するり。そう言って伸ばされた指先が、シズちゃんのちんこを咥えた俺の目蓋に伸びる。その掌に、唇の動きを止めて、擦り寄れば、少しカサカサした親指が、乱暴な手付きですりすり、と目蓋の皮膚を擦った。指先から伝わる温もりは愛しかない。ああ、やばいな。ちょう幸せじゃん俺って。と、シズちゃんのちんこをしゃぶったまま口元に笑みを浮かべる。すると途端に、シズちゃんが露骨なほどの不機嫌そうな顔した。眉間に寄った皺をいつも以上に深めて、チッ、と盛大な舌打ちが口元から放たれる。また何か先走って勘違いしたのだろう。もしかして、俺が君以外のこと考えるとでも思った?そんなの在り得ないのにね。ちんこ舐めてるからって、君の気持ちまで先走らなくていいんだけど。なんて思ったが生憎、俺は口が塞がってるので其れは口から零れる事はなくて、その代わりにシズちゃんの掌がぐいぐい、と俺の頭を引き寄せた。
その拍子にシズちゃんのちんこが頬を皮膚を突き破る勢いで押し当てられる。膨らんだ頬が、引き攣られる感じにぎゅ、と眉を寄せると、シズちゃんは満足げに目を細めて、自らのちんこで膨らんだ頬をすりすり、と撫で上げた。鼻から漏れる息が荒くなるに連れ、押し付けられるソレの大きさも増していく。そうして、俺は無心になって、膨張を続けるシズちゃんのちんこをしゃぶり続けるのだった。じゅぷり、じゅぷり。唇を埋め尽くすソレと独特の匂い。美味しいとは到底言えないカウパーと俺の唾液が混ざり合った液体が、シズちゃんのちんこと俺の唇と咽喉を流れていけば、一滴も零してたまるかと、必死になって飲み下した。次第に、シズちゃんの唇から漏れる吐息の量が増し、少しだけ歪んだ彼の顔が快感を煽る。ぞくぞく、と痺れるような感覚。まるで感電ような其れにひくひく、と背中とちんこを震わせて、それでも、其れを悟られないように、しゃぶりついたシズちゃんの先端に舌先を押し付けてくるり、と抉った。
「ん、…いざや、っ、それ、やばい、っ」
出そう、とシズちゃんは唇を震わせる。しかし、その掌は裏腹に俺の頭を押さえ込んで頬の皮膚にちんこを擦り付けるので唇を離そうにも離せなかった。その間も止め処なく溢れてくるシズちゃんの先走りで口の中が溶けてしまいそうになる。それは俺の身体が溶け出している証拠だった。そのおかげであらぬ事まで呟いてしまいそう。早くイッて、そして早く俺に突っ込んで。なんて、死んでも言いたくはない。だから、唾液と先走りでふやけた皮膚に僅かに歯を立て、舌先で抉った先っぽの穴に吸い付く。握り込んだ掌全体で上下に擦り上げ、俺の口テクを駆使して、シズちゃんのちんぽを追い詰めた。その甲斐もあって、シズちゃんは一分も満たない内に僅かに唇から吐息と喘ぎ声を漏らしてあっけなく、俺の口の中と顔面にどろどろの精液を放つ。それだけなら未だしも漏れなく、今日下ろし立てのシャツにも真っ白な其れが飛び散った。それでも文句一つ言えない俺って、なんなんだろう。何か悔しい。ていうか、全部シズちゃんが悪いんだ。シズちゃんが幸せ、幸せ、って表情に出して、俺のこと好きだって言うから。俺だってシズちゃんのちんぽを欲しい欲しいと訴えてしゃぶって愛してるって言ってしまう。昔の俺は絶対こんな事しなかったのにな、などと遠い昔に想いを馳せたところで過去に戻るわけわけでもないし、戻りたいとも思わないのだけど。やっぱりまだこうしてシズちゃんにトロトロに、溶かされて蕩けさせられてる俺自身を認めたくないので、盛大にこの目の前の巨大ちんこを、まだまだいじめてやろう、と思う。口を使ってか、それとも別の場所かは、シズちゃん以外には教えてあげない。
だってこれが、俺にしか使えない卑劣な魔法だから。






おやすみ、盲目










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