「っシズ、ちゃ、あ、…ッ、も、はあ、…ん、…じらさないで、よっ…」
集まった皺の一本一本を伸ばすように俺の尻穴を弄ぶシズちゃんの髪を引っ張りながら、息も絶え絶えにそう告げると、咥えっぱなしのペニスがシズちゃんの唇から解放される。てらてら、と蛍光灯の下で輝き、唾液でふやけた自分自身は吐き気がするくらいエグい物だったが、シズちゃんは躊躇する事もなく、根元を押さえて、黙ってろ、と俺に告げた。黙ってろ、だなんて。やっぱり腹が立つ。ベッドサイドに隠したナイフでも取り出してやろうかと思ったが、シズちゃんは俺の行動などお見通しとばかりに膝裏を抱えて持ち上げた。引き攣るような痛みが腿裏に走り、ひ、と息を飲む。身体が柔らかい方でも無いし、第一この格好は、メンタルに来る。が、それもシズちゃんの行動によってぶっ飛んでしまった。尻肉を左右に開かれ、固く閉ざされたに蕾に指先を押し込まれる。湿り気の無いソコに僅かな痛みが走ると同時に、シズちゃんが俺の尻に顔を埋めた。ぬるぬる、と舌先が押し付けられ、入口を舐められる。ちょ、まじ、タンマ!そう言って押し退けようと額を叩くが、ビクともしない。やだやだ、と暴れても見たが、すんなり、と足首と脹脛を掴まれて俺の脱出作戦は呆気なく、失敗に終わった。
「大人してろつってんだろ、俺から逃げるなんざ無理なんだからよお、なあ、臨也君」
見下すように、シズちゃんはそう口にし、ぬるぬる、と滑りを帯びた指先を一本、ナカに押し込む。ひく、と腹筋が引き攣れるが、其れにも増して、俺の中を期待が満たしていった。これだから、シズちゃんが図に乗るんだ。分かっていても止められない其れに、僅かに息を吐き出しながら、詰まった肉の中に象られるシズちゃんの指先を感じる。唾液なのか粘液なのか、分からないがくちくち、と溢れ出す音に、ぎゅ、と目を閉じながら唇を噛むと、臨也、と呼ばれた。何、と答えるのもままならなくて、頬っぺたに触れる。それだけだったが、再びシズちゃんから笑う雰囲気がして、俺はほっと、胸を撫で下ろした。全身の力が緩む。が、シズちゃんは其れを狙ったかのように、俺のナカをぐちぐち、と描き回した。いつの間にか一本だった指先が、二本、三本と飲み込み、ぬらぬら、と尻穴から、太腿にかけてを濡らす。いよいよ、理性の欠片を振り回す事も出来なくなり、あふあふ、と唇から息が漏れた。シズちゃん、シズちゃん、もうほしいよお。誘うみたいに両手を広げて、強請る。自分でも驚くほど幼く子供のような甘い声だったが、シズちゃんには、効果覿面のようだ。臨也、と甘く囁く声が耳元に吹き込まれ、案外逞しい腕に抱き込まれたかと思うと、ぐちゃぐちゃに湿ったソコに突き立てるようにゆっくり、とペニスを挿入される。人並みではない大きさのソレではあるが、俺ならば受け止められる事は、分かっているのは幾度となく回数を重ねているから。俺はこの瞬間がたまらなく好きだ。シズちゃんで満たされる瞬間が。
「あん、あ、あ、あんっ、ふ、あ、んっ、あっふ、っん、はあっ」
一番太い先端の部分だけが挿入され、ぬぽぬぽ、出し入れを繰り返しながら音を立てる。掻き抱くようにシズちゃんを引き寄せて、唇を押し付けて舌に吸い付くと、同じようにシズちゃんは俺の舌に吸い付いた。んん、と篭る声を咥内に吐き出しながら、徐々に奥まで挿入されるペニスに身震いする。粘膜を抉るような腰使いに、卑猥なほど響く肌のぶつかる音と深いストローク。もしかして、妊娠でもしちゃうんじゃないかと錯覚するような、それらに飲み込まれて、我を失う俺、とシズちゃん。この時ばかりは、何を言っても許されるのではないかと思う。好きだとか、もしくは愛してるとか。吐き気がするみたいな、その言葉たちを君に告げても、許されるのではないかと。
「はあ、あ、ん、っ、んんん、っ、ず、ちゃ、…っすき、すき、だよ、っん、あ、あ、」
その言葉に、シズちゃんがどんな反応をしたのかも知らない。ただ引き寄せた胸元から、シズちゃんの顔が上がると、かさかさ、と乾燥した唇が、俺の唇に重なった。まるでそれが合図のように一気に激しく腰を打ちつけられる。ぐぽり、ぐぽり、と、しとど体液やら先走りが流れ落ち、濡れる蕾に一定のペースでペニスを押し込められ、俺はひたすらその動きに合わせて腰を振った。ぐりぐり、と胸に押し付けられるシズちゃんの金髪が少しだけ痛い。だからだと、思う。何故だが、目の前が歪んで、俺はシズちゃんの名を呼んだ。何度も何度も、シズちゃんに届いてるかも分からない熱を孕んだ声で呼んで、絡ませ合うように、掌を擦り付けて力任せに指先を握る。
「ん、っは、あっあんっあっらめえ、、あ、イ、くっ、あ、っんあああっ!!ああっ!!」
その瞬間、一瞬のホワイトアウト。俺は白濁を吐き出して、シズちゃんは押し寄せる波を俺のナカで吐き出した。はあ、はあ、荒い呼吸を肩でしながら腹と腹の間にじんわりと、伝わるぬるい感覚がやはり、不快だが、身動きが取れない。なぜなら、死んだようにシズちゃんが俺の上でのさばっているからだ。いつもならば、退いてよ、と光の速さで注げているところだ。だが、今日は言えそうにもないよ。シズちゃん、君の所為だ。だって、君はすぐに俺の手を離してしまうのに、今日はまだ、俺の手を握り締めたまま。べたべたに汗ばんだ手が触れてる。それがどれだけ俺にとって大きい事だか知らないだろうけど。もう暫く、こうさせておいてあげるから、俺の善意に感謝して、よ。感謝ついでに、キスしてくれてもいい。今日は全部許してあげるから。 だからさ、この恋を不毛な恋、だと、呼ばないで。






ゆるり溶けいる純白に眠る









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