男は思う。目の前の男の言葉を。男は、自分の唇が好きだと言った。男は、自分の身体が好きだと言った。逆に言えば、唇や身体以外はどうでもいいと言う事かも知れない。だが、それでもいいと男は思った。平和島静雄の意見など、最初から聞いていない。折原臨也と言う男は平和島静雄とセックスするのが好きだった。平和島静雄とキスをするのが好きだった。平和島静雄、彼自身が好きだった。それ以上も、それ以下も無い。折原臨也にはその理由さえ在れば、他に何も必要なかった。
目の前で反り勃ったペニスの先端に舌を這わせながら、臨也は静雄の顔を見上げた。きつく吊り上った、瞳に自分が映ると、臨也は背中を震わせる。静雄が自分だけを見ている。それだけで、全身が震えるような喜びに襲われ、臨也は夢中になって、静雄のペニスを咽喉の奥まで咥え込んだ。無意識に唇が持ち上がり、じゅぷり、じゅぷり、唇が擦れる音が、部屋中に響く。その微笑みは、静雄の目には何とも妖艶に映っているに違いなかったが、静雄は其れを否定するように小さく舌打ちをして、臨也の後頭部の髪を握り込んだ。数本か、或いは何十本か。ぷちぷち、と漆黒の髪が千切れる感覚が静雄の指に届くと、臨也の顔が僅かに歪む。だが、臨也は決して痛いとは口には出さなかった。寧ろ、喜んで居るようにも見える。咥え込んだ唇を懸命に前後に動かし、咽喉の奥に、熱い先走りが流れ込む度に臨也はごくり、と咽喉を鳴らす。上下する其れに静雄は目を奪われながら、握り込んだ後頭部を軽く撫で上げた。しずちゃん。ちゅぱり、としゃぶっていたペニスを唇から離した臨也は舌足らずのような幼い声で静雄を見上げる。静雄は言葉も無く何も言いはしなかったが、その仕草でさえ臨也にとっては最愛のものだった。柔らかな笑みを零しながら、そのまま、ちゅ、と臨也の唇が静雄のペニスの先端に触れる。先端にぷくり、と溢れ出た白濁を真っ赤な舌がぺろり、と飴玉を舐めるように這うと、僅かに静雄の肩が揺れた。臨也の笑みはその度に深まり、次第に行動は大胆な物へと変わっていった。
咥内の粘膜を擦り付けるように、一番太い部分を咥え、舌で包み込む。裏筋をゆっくり、と舐め上げ、ぶら下がった袋までも、舌を這わせれば、静雄は再び舌打ちをした。シズちゃん、気持ちいい?問いはしなかったが、臨也の視線はそう訴えている。その表情は無性に静雄を乱したが、静雄はぎしり、と奥歯を噛み締める事で其れを耐えた。唾液と先走りで濡れたペニスを臨也の掌が包み、細い指先が絡みつくように上下に動く。くちゅくちゅ、と半透明の液体が泡立つように混ざり合いながら、静雄のペニスを流れ、臨也の指先に纏わり付いた。更に勃ち上がるペニスが、臨也の目の前でひくり、と脈打つ。見上げた静雄の唇から漏れる吐息と、呻き声にも似た喘ぎが零れ、臨也は掌のスピードを上げた。
ぬるぬる、と滑りの良くなったペニスを扱きながら、先走りを溢れ出させる先端に舌をぐりぐり、と押し付ける。その姿を、静雄は眉間に皺を寄せながら食い入るように見つめていた。自分のペニスがまるで別の生き物のようなこの折原臨也と言う人間の真っ赤に色づいた舌先に包まれ、蕩けるように熱い咥内に閉じ込められる度に、込み上げる射精感を必死になって耐える。が、限界が近いことは臨也も同様、静雄自身が一番分かっていた。臨也より先に達することなど滅多に無い。現に、臨也は、静雄の足の下で下着を濡らし持ち上げるほど、ペニスを勃起させているような変態体質ではあったが、やはり物足りない快感では達する事は出来ないだろう。何時もならば、押し倒して静雄がイかせるばかりだ。だが、今日はそうしてはやらない事にした。ワンパターンでは面白くない。臨也も其れを望んでいるに違いないと、静雄は臨也の咽喉奥に突き刺すように頭を押さえ込み腰を突き上げた。小さく呻くような篭った声が漏れたかと思うと、荒くなった鼻息と一緒に擦れて真っ赤に染まった唇が赤黒いペニスの出し入れを繰り返す。長い睫毛がふるふる、と震え、苦しげに潤んだ瞳が静雄の姿を映したが、静雄は行為を止めさせる事はなく、ただただ、その姿を眺めていた。酸欠なのか、臨也の顔が赤に染まり、口端から漏れた唾液と粘液が顎を伝って、革ばりのソファに流れていく。そして其の雫と一緒に、ぽたり、と静雄の汗が額から頬を流れると、臨也の咽喉の奥に、熱い精液が一気に流し込まれた。どくり、と脈打つペニスから唇を離すこと無く、臨也は一滴たりとも逃さないようにゆっくり、と咽喉を上下させ精液を飲み下す。その咽喉元を静雄は肩を揺らしながら見つめ、くしゃり、と漆黒の髪を撫でた。
「…ん、ん、…おいひい、」
ちゅ、ちゅ、とペニスを綺麗に舐め上げながらまるで華が咲くように、臨也は目を細めて笑う。この時ばかりは、臨也は可愛げの塊であると、静雄は思った。普段の悪行からは想像も出来ない。想像する必要も無いのだが、何時もこれであれば平和だろうとぼんやり、思考を巡らせながら、細い身体を引き寄せる。抱き寄せた腰を持ち上げ、膝の上に乗せると、ひんやり、と湿った臨也の下着が静雄の腹部を濡らした。そのまま、噛み付くように唇を貪り、舌を擦り付けると、遠慮がちな舌先が静雄の舌に絡みつく。上手くも下手でもない。経験が豊富だとか、童貞だとか。臨也は静雄を馬鹿にする事もあったが、余裕の無いその接吻けに、静雄は唇を歪めた。啄み、吸い付きながら、舌を擦りつける。あふあふ、と吐息が吐き出されるのを耳にしながら酸欠になる手前で、尾を引くように唇を離した。きらり、と唇と唇を繋ぐ唾液を拭うと、潤んだ瞳と視線が合い、静雄が目を逸らす。その仕草に、臨也は、くしゃり、と目元を歪めると、もう一度だけ唇に接吻けを落とし、ソファに付いた膝に力を入れた。白く細い指先が静雄の膝に引っ掛かった下着とパンツを撫で、ずるり、と下ろしていく。
そしてくたり、としつつも芯を持ったペニスを尻で撫でる様に挟み、静雄の肩に吐息を落とした。簡単なものだ。それだけで静雄の理性と言うものはすぐに崩落を果たす。自分ではどうにも出来ないことだとは分かっていたが、静雄は溜息を吐き出し、濡れた臨也の下着を引き千切る勢いで脱がせてやった。露になった真っ白く肉の詰まった尻たぶをねっとり、と撫で上げ、左右に肉を持ち上げる。指を滑らせるように、探った皺の集まりを擦り、目の前の薄い胸板に熱い息を零した。しずちゃん、と呼ばれた声に僅かに顔を上げ噛み付くように唇を触れさせる。そのままだらしなく顎を流れる唾液を舐め取り、僅かに濡れたシャツのボタンを開けた。途端にひくり、と臨也の身体が飛び跳ねる。見れば静雄の前に、ぷくり、と勃ち上がった臨也の乳首が晒されていた。静雄は迷う事無く、其れに唇を付け、吸い上げる。すでに痛々しいほど膨れ上がる其れを、下から上に舐め、かつり、と柔らかくも芯を持った感覚が歯に伝わると、押し潰すように噛んだ。あ、あ、と短い声が臨也の唇から絶え間なく漏れる。何時もならば殴っているほど耳障りな声であったが、今の静雄の耳には心地よく響き、優越感を満たしていった。


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