*この話を
緑川視点で読む
君は、僕に心配をかけたくないから、あの時笑顔だったことはお見通し。だから、僕もその思いに応えたいんだ。
空を見ると、緑川が「頑張れ、俺も頑張るから!」とか言ってるんじゃないか、なんて考える。
俺が旅立ったあの日。君に「ずっと待ってるから。」だけを伝えた。それが、一番だと思ったから。あの日の約束を叶える為に。
俺がここに立っていられるのは、緑川がいてくれたからで。だから、こっちにきてからも緑川を忘れたことなんて一度もない。それどころか、どんどん会いたくなる。
ふと、携帯電話が目に留まった。
「緑川、元気にしてるかな。」
泣いてるんじゃないかって、心配になったから。
「もしもし、緑川?」
「ヒ、ヒロト!?なんで…」
「声、聞きたくなったから。」
「俺もだよ、ヒロト。」
「元気にしてる?」
「もちろん!毎日特訓だよ!」
「ふふ、相変わらずだな、緑川は。」
「うっ…うるさいなあ!」
「寂しく…ない?」
「…………寂しくないよ。」
「本当に?」
「…………寂しいよ、馬鹿。」
でも!と今にも泣き出しそうなのを堪えて君はこう言った。
「約束のためだもん。だから、大丈夫!」
ああ、そうやって君は、また無理をして。でも、再開できるときまで言わないでおこう。だから今は全部わかってるよ。
君がどんな想いをしてるか、わかってる。
だから今は。
「待ってるから、ずっと。」
-end-