「ねえ、一くん。今日は何の日でしょうか?」
「………。」
「ねぇ、ねぇってば、今日は何の日?」
「総司、お前は何がしたいんだ?」
「だから、何の日って聞いてるじゃない。答えて。」
「今日は………七夕だろう。それがどうしたというのだ。」
「そう、正解。今日は七夕です。だから…」
そう言うと総司は、いきなり俺に抱き着いてきた。
「何故七夕で総司が抱き着くのだ。」
「嫌だなあ、一くん。七夕だよ?彦星と織り姫が、年に1回だけ会える日だよ?」
「………それとどう関係があるというのだ。」
「んー…だって、彦星と織り姫がイチャイチャしてるのに、僕と一くんがイチャイチャしないのはおかしいじゃない。」
「相変わらずお前はわけがわからん。」
「ひどいなー。僕は素直に、一くんに甘えたいだけなのに。」
彦星と織り姫が年に1度だけ会うことを許された日。
こんな日だからこそ、総司は甘えたいのではなく心配になったのだろう。
「総司、安心しろ。俺は何処にもいかぬ。ずっとお前の傍に………寝てしまったようだな。」
総司が起きるまで、このままでいよう。
そして、総司が起きたらもう一度伝えよう。
俺は何処にも行かない。
総司の隣にいる。
ふと空を見上げると、綺麗な天の川が流れていた。
-end-