部活のない放課後。
俺は図書委員会の仕事をしていた。
「まったく…先生もひどいですよ。俺一人にこれ全部押し付けるなんて。」
机の上に山積みされた大量の新刊を、棚に並べる。
そして新刊と入れ替えた古い本を机の上にだす。
「入れ替え終わったのはいいですけど…これ、どうしましょう……」
新刊の変わりに、机の上に山積みされた古い本を見つめ、ため息をつく。
「仕方がない…地道に持って行きますか…」
図書室から準備室までの距離は以外とあって、この量を一人で持っていくのは結構大変だけど、やるしかない。
パタパタと音を立てながら、何冊も分厚い本を持って廊下を歩く。
もう、何往復したかわからなくなってきた。
山積みになっていた本はあと一往復でなくなるくらいになっていた。
「はあ…これで最後だし、早く終わらせて早く帰ろう……」
下を向きながら歩いていたら、誰かにぶつかって本を落としてしまった。
「あわわわ、す、すみませんん!」
「大丈夫か、速水。」
「あ…南沢さん。」
「ホラ、これ。」
「あ、ありがとうございます。」
「それにしても、随分重そうだな、それ。手伝ってやろうか?」
「ほ、本当ですか?!」
「ああ。」
ただし、と南沢さんは続ける。
「お前が俺に"キス"してくれたら、な。」
「な、なな何言ってるんですかあ!」
「冗談だよ、冗談。まあ、そのうちしてもらうけど。」
「!?」
「頑張れよ。」
そういうと、俺の頭をポンっとたたいて、南沢さんは行ってしまった。
真っ赤な顔のまま、俺は急いで準備室へ向かった。
-end-