夢 (傑と駆)




なんだろう…この懐かしい感じは…


__________


「あーっ!兄ちゃん!それ、俺のアイスじゃん!楽しみにとっておいたのに!」

「ごめん駆。」

「うぅ…もう、兄ちゃんったらしょうがないなあ…」

「そうだ、駆。公園に行こう。」

「公園?いいけど…なんで?」

「練習、付き合ってくれるか?」

「うん!もちろんだよ!」



俺の兄ちゃん、逢沢傑はサッカーがとっても上手くて、日本サッカーで期待されている人。
そんな兄ちゃんが俺は大好きなんだ。
兄ちゃんとサッカーをしてるときは、本当に楽しい。兄ちゃんのプレーに少しでも近づけるように、俺も練習を頑張っているけどやっぱりまだまだダメみたいだ。


「くそ〜!またダメだったよ…兄ちゃん、どうやったら出来るようになるかなあ?」

「駆。俺はお前と一緒になら、世界を相手にしてでも勝てるって信じてる。」

「兄ちゃん…?」

「お前は…サッカー好きか?」

「うん!好きだよ!兄ちゃんとやるサッカーはもっと好き!」

「そうか。その気持ちを絶対忘れるなよ。」

「うん!ほら、兄ちゃん!早く続けようよ!」

「ああ。そうだな。」
__________


にい…ちゃん……


「………夢か。」



このときの俺は、兄ちゃんが何を伝えたかったのか、よくわかっていなかったんだと思う。
俺がサッカーから逃げることもなく、これから先も、ずっと兄ちゃんとサッカーがてきるって、あの頃の俺はそう思って、ただボールを追いかけていたから。


でも、兄ちゃん。今ならわかるよ。
兄ちゃんが俺に何を残そうとしてくれてたのか。

諦めたら、その瞬間に負けが決定しちゃうんだよね。
だから俺、諦めないで頑張るよ。
兄ちゃんはずっと、俺の心の中にいる。俺と兄ちゃんは今でもずっと一緒で、離れ離れなんかじゃないよね。

兄ちゃんの夢…
ううん。“兄ちゃんと俺の夢”絶対叶えてみせるから。


―――ドクン。


「カケ兄ーっ!ご飯出来たってよー!」

「あ、うん!今行くー!」



きっと、頑張れって言ってくれたんじゃないかな。

ね、兄ちゃん。



-end-






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