苗字 名前 様


拝啓
仲夏の候ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
先日はお忙しいところ私の為にお時間を頂戴し、誠に有難うございました。
貴女様のお話を伺いとても感銘を受けました。それとともに貴女様の事をもっと深く理解したいと感じました。
つきましては明後日の午後十六時 第一体育館横バスケ部ロッカールームにてお待ち致しております。ご足労頂きますよう宜しくお願い申し上げます。
貴女様に会える日を心待ちにしております。

敬具

花宮 真






「………………」

「名前どうしたの?…何それ、誰からの手紙?」

「…んと…花宮…く、ん…」

「えっ?!花宮ってあの超優等生の?!マジで?!え?何て書いてあったのっ?!」

「明後日、バスケ部の更衣室に来て欲しいって…」

「えぇーーー?!呼び出しっ?!名前何かしたわけ?それとも告白っ?!」

「はは…」




**************








「じゃあねぇ〜〜!名前っ!明後日の報告楽しみにしてるね〜!あははっ!」

「…はは…ばいば〜い…」







やばい
死刑宣告だ

え?何があったって?
聞いてください!!下校時に靴箱で先ほどの手紙を読むに至るまでの話なんです!



それは今日の昼放課


自販機で飲み物を買って教室に戻ろうとした途中で窓越しに、中庭の角で誰かが告白しているのを見かけたんです
女の子の方は同じ学年でわりと可愛いと名前があがる子でした
そして相手はこの学校で1.2を争うほど有名で一つ下の花宮くんでした
あたしは花宮くんと接点は無いんですが、彼は有名だし何より少し気になっていたんです
彼は見た目も整っているし成績は優秀、おまけにバスケ部の主将兼監督までやっていると聞きました
並大抵の人間じゃ成せないことだと思います。
そんな彼に恋心を寄せる女の子はたくさんいましたし、あたしもその1人だったんです
そう、あの時までは





しばらくするとどうやら女の子は花宮くんに振られてしまったようで泣いていました
しかしそんな女の子に花宮くんは自分のハンカチを差し出し丁寧に謝っていました
そして女の子は泣いてはいましたが清々しい顔でその場を去って行きました

あとに残された花宮くんを見ていたら、目を疑う事が起こったんです

「はぁ〜…チッ、めんどくせぇ…」

「っ?!!」

えっ?今の花宮くんが言ったの?
あのみんなから慕われてる花宮くんが?

「…はい。あぁ、古橋か。今終わった。はぁ〜肩こった。あ、ハンカチありがとなやっぱり泣いたわ、お前に借りて良かったわ。新しいの買って返すから。わりぃな、じゃ」


…え?
さっき渡してたハンカチって花宮くんのじゃないの?どういう事?
てか、肩こった。て

あ、また電話だ


「…今度は誰だよ…はい。原か。何の用だよ。あぁ?はぁ、もう聞いたのかよ。あ〜そうだよ。こないだ言ってた2組の女。さっき告られた。ふはっ!俺の勝ちだな。一週間もありゃ確実に落とせるに決まってんだろ。部活の時に五千円な。じゃ」


なんだか話が分かってきた
けど、認めるのがこわい
違うって思いたい。だってそんなあの花宮くんに限ってそんな

動揺して手から力が抜けて…
ジュースを持っていた事をあたしはすっかり忘れてしまっていたんです
次の瞬間手からジュースが落ちて、


ガコンッ!!!!


「っ?!!」

「?!誰かいんのか?!」


見られてはまずかったんでしょう
花宮くんがすごい勢いでこっちに歩いてきました

あまりの恐怖に咄嗟にその場にしゃがみ込みました
身体が震えて言うことを聞かなくて
でもこのままでは見つかってしまうと思いしゃがみながら近くの空き教室まで行き、花宮くんから死角になるドアからそっと入りました


「はっ、っ…はぁ、…」

走ったわけでもないのに息が切れて汗をかいていました
しかしその汗を拭う余裕すらあたしにはありませんでした
ただ壁に寄りかかり、花宮くんが通り過ぎるのを待っていたんです

そして近くの廊下から慌ただしい足音が聞こえてきて花宮くんが校舎に入ってきたんだと分かりました

「おい…誰かいんのか?…」

「はぁっ、ふっ…っ、」

どんどん声が近づいてきてわずかな息でも聞こえてしまうんではないかと思い、両手で口を覆いました

でも次の瞬間

ガララッ!!

「っ!!!!」

「はっ、見つけた。君、さっきそこにいた?」

「…なんのこと「バレてんだよ」

あっという間に目の前に花宮くんが来て机に腰掛ける

「なぁ…酷い目に合いたくなければ素直に言った方がいいぜ?もう一回聞く。さっきそこにいたのはお前だろ」

その時の花宮くんの眼がこわくて本当の事を言わないとどんな事をされるか恐ろしくて言ってしまったんです

「…はい…」
「どこから見てた」

「…花宮くんが…ハンカチを渡す辺り…から…」

「チッ、」

やはり都合が悪い現場だったようで一気に花宮くんの顔が険しくなりました

「あの…私誰にもこの事言いませんから…そこをどいてもらえませんか?」

「ふはっ、はい分かりました。って誰が素直に聞くかそんなこと」

「本当に言いませんっ!別に…私には…関係ないことですし…」

「意外と良い性格してんな、お前」


「え…っ?!んっんーー!?」

突然腕を掴まれて花宮くんの方に引き寄せられて口を花宮くんの唇で塞がれた

「やっやめっ!…ひゃあ!」
「くくっ、お前どうせ処女だろ?」
「な、に言って、ん!やめてっ!!」

花宮くんの指が制服の中に入ってきて胸を荒々しく揉まれる

ヤバい。これから何をされるのか分からないけど確実にあたしにとって最悪なことだ

花宮くんを力一杯押した

「っ!」
油断していたのか少しよろめいた隙に全速力で逃げた




走って走って走って
自分の校舎に着くまで息を切らしながら走った

ようやく自分の教室に着いた
教室内はたわいもない雑談に溢れ平和そのもので、別世界だった
自分の席に座りしばらくたっても震えは収まらなかった






あたしはクラスでもそんなに目立つ方じゃなかったし、何より花宮くんの一つ上の学年なのできっとすぐには見つけれないと思っていたんです

あまりの衝撃で思考が回らず、花宮くんがこの後何かをしてくるという可能性まで頭が回らなかったんです

でもまさか今日の今日であたしの居場所を突き止めるとは







「…?花宮何だか機嫌良いな?」

「あ?ちょっと面白いもん見つけてよ」

「え〜また新しいターゲット?次はかけないよん?」

「今度のは今までのとはちげーよ」







どなたか明後日があたしの命日にならない方法教えてくれませんか?









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