彼に初めて会った時の事のことだ

彼を見たのは毎日通る通勤路だった
だけど、そこはまるでいつもとは違う場所に思えた。それくらい彼は異彩を放っていた

周りのものに決して交わらず、ただ一つの個として存在していた

それはこの世のものとは思えないほどの美しさと、彼から織り成す私達人間とは違うという差別的雰囲気のせいでもあった

そう
彼は私とは別の世界のものなのだ

なのに何故、今私は彼の視界に入り、触られ問いかけられているのだろう
これはきっと現実ではない
でも夢でもない
彼の気紛れによって私が別の世界に引き込まれているだけだ

「あれ…他のことを考えるなんて余裕だね。」

「っ!…もぅ、ぃやっ!!…やめっ、」

「やめる?本当はやめて欲しいなんて思ってないくせに」

くつくつと笑う彼は心底楽しそうだ

「ほら、こうでしょ?」
「んあっ!…っ!…」

彼の指がわたしの中を何度も行き来する

「君はほんとに綺麗だね」
「ん…綺麗なんかじゃ、ないっ」
自分より美しい人に言われても馬鹿にされているとしか思えない

「…その目は僕の言うことが信じられない。ってかんじだね」
「もういいから離してっ!なんでこんなこと」
「こんなこと?君が綺麗だからさ…美しいものは触れたくなるだろ?」
「あなた、おかしい…」

「おかしい?じゃあ君はどうなの?知らない僕に突然犯されて感じて…おかしいんじゃないかい?」
「な!!感じてなんか!」
「嘘」
「ゃぁあっ!!」

指が3本に増やされ一本がある一点を掠める
自分の意思とは関係なく声が出て抑えることができない


「随分強情だね。ほら、ここ。いいんでしょ?」
「ん、っ!ぁ…ふぁ!」
「ん〜それともこっち?」
「よく、な…い…んあ!っ!」

そもそもここはどこだ
真っ白な天井に壁
合わせるかのように真っ白なシーツにベッド

どうやってここにきた
今日は何日


「きみは考え事が好きだね。…何を考えているのか当てようか?」
指の速度を落とし、思考するのに必要なところまで快楽をとめられる

「ここはどこなのか。どうやってここに来たのか。」
「っ!」
「目は口ほどに物を言うってね。ねぇ、標本にされる蝶が悠々と飛んでいる時に、まさか人間の手によって捕まり自由を無くし、命を奪われると想像できると思うかい?」
「……何が、言いたいの」
「蝶は自分がそういう対象として人間に見られているとは知らずに気ままに飛んでいるんだ。きみもその蝶と何ら変わりない」

彼の熱がわたしにあてがわれる
「いや…お願…やめっ!んんーーー!!」

「っ…はぁ〜…ねぇ名前」

「っ?!なんで、なま…え…ぁっ!ぁあ!」

「僕だけが一生きみの美しさを感じ続けてあげるからね。誰にも見せてあげない。」

「やっ!…ぁ!…ぁああーー!!!」










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