・被験者Cの場合







『こないだ行ったお店がさ〜…』
『あの取引先の人は〜…』
『今日は一段と寒いもんねぇ…』



「…………………………」
何で今日こんなに電車混んでんの?
何かイベントでもあったっけ?も〜やだ〜…

土日も部活なんて最悪
律儀に行くあたしもあたしだけど
うぅ〜…後ろのおっさんのお腹が背中に当たる…気持ちわるっ!早く降りたい〜!

もぞ


もぞもぞ…


ん?


なんかお尻に誰かの手が当たってるよう、な…

「っ?!!」

や、やだ…お尻撫でられてる…これって痴漢じゃ…
いや、これだけ満員だしもしかしたら当たっちゃってるだけかも…少し様子を見てみないと




「ん…」

完璧に痴漢だ。やばい…黙ってたらどんどん悪化してきた…位置的にたぶん後ろのデブなおっさん、、、最低だ
どうしよう。まさか自分が痴漢にあうなんて
でも大きい声あげてしらばっくれられても恥ずかしいし
でもこのままじゃ…ど、どうしよう




「ちょっと、おじさん」
「?!!」
突然斜め後ろの男の子がおじさんの腕を掴んだ

「な、何をするんだ?!」
「何って今自分が何をしてるか分かってんの?痴漢野郎」
「わたしは痴漢なんて、」
「あー言い訳はいいから。僕ずっと見えてたからその子のお尻触ってたの。そうでしょ?君」
「ぇ……あ、はい!」
「とにかく次の駅で降りてよ」
「何の証拠があって、この…ぃたたたっ!!」
「おじさん、暴れないでくれる?手首痛めるよ?」





あたしが唖然としている間に男の子が駅員さんに痴漢男を引き渡し
駅長室で事情を話したところ、痴漢男は警察に連れて行かれる事になった



「あの…本当にありがとうございました。助かりました」
「お礼なんていいよ。それよりああ言うときはちゃんと言わないと余計悪化するからね。自分で自分を守らないとダメだよ」
「はい…」
「くす。じゃあ行こうか。一つ前の駅で降りたから道が分からないんだ。案内してくれるかい?」
「え…どこに?」
「君の通う学校にだよ。今から行くんでしょ?」
「へ…あぁ、分かりました」

全く状況が掴めないまま見知らぬ男の子ととりあえず学校に向かう
一応助けてくれたわけだしお礼もしたいし…



「なんでわたしの学校に?」
「来週から通うんだよ。君と同じ学校に」
「ぇえっ?!!」
「あはっ驚きすぎ」
「いや、だって…」

たまたま痴漢から助けてくれた男の子が同じ学校に通うことになるなんてなんて奇跡
しかもさっきはパニックになってて気づかなかったけど、めちゃくちゃかっこいい!!
ヤバい。痴漢の時とは別の緊張が…


「顔、赤いけど大丈夫かい?」
「は、はいっ!!」
「なら良いけど」

うわぁ……笑った顔も超綺麗。ダメだ。直視できない


その後ガチガチになってしまったあたしはいったい何を話したかすら全く覚えていない
それほど緊張した



「着きました」
「あぁ、ここか」
「そこを真っ直ぐ行けば職員室に着くと思います。」
「ありがとう」
「いえっこちらこそ本当にありがとうございました!」
「そういえば自己紹介してなかったね。僕は渚カヲル。君は?」
「え…苗字名前です」
「苗字さんか…また会った時はよろしくね。じゃあね」
「はい…」


そして来週まさかの同じクラスに渚くんがくるという2度目の奇跡がおこることをまだあたしは知らない











〈結果報告〉
今回年齢の違う3人の女性を対象に吊り橋効果を狙った実験を致しました。
劇的な変化はみられないものの全員確実に心境の変化が認められます。
これらの事から異常な条件下においての恋愛成就率は極めて高いと認識されます。
また検体:渚 カヲル の身体(しんたい)の受けも良好。実験を重ねればさらなる結果が期待できると思われます。
以上。



















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