異常な条件下における恋愛方法について

この度、異常な条件下における恋愛方法についての分析結果を纏めましたので、報告させていただきます。

・被験者Aの場合








休日返上6連勤の最終日、天気 雨
こんちくしょう

残業を終えて、身体も心も冷え切った状態で家路に着く
もうご飯を作るのもめんどくさいからコンビニで適当に買ってきたもので済ませよう
自宅マンションのエントランスをくぐりエレベーターに乗り込む

「はぁ………」

さっさと閉まれ、ボタンを連打する
あたしの気持ちを逆なでするかのようにゆっくりしまっていくドア。が、
突然止まり、また開きだす
あぁ?

「すみません」
にゅっと腕が伸び、声からして男性が入ってきた

不可抗力でジロリと見る

……こんな人うちのマンションに居たっけ?
何このイケメン。てかちょー美人
どうやらあたしの一つ上の階みたいだなぁ…
こんな美人さんが同じマンションに住んでたとは…なんてこったい。目の保養だわー
これからもたまにお目にかかりたいものですな。ふふふ
やばい、疲れも合間ってにやにやが止まらない
美人さんに会えるなら残業もたまには良いな
なんて呑気な事を考えていたら

ガタンッッ!!

「……えっ?」
エレベーターがどうしてか途中で止まった
「え?嘘っ」
突然の事でどうしたら良いか分からずただおろおろとする
何でこんな時に〜?!冗談でしょっ?!

すると美人さんが緊急連絡ボタンを押す
「……………あっ、エレベーターが止まったんですけど……はい、…はい、………分かりました」
私の方を向き
「管理の人が2,30分で来るそうだから待ってましょう」

「あ……はい……」

美人さんがあまりにも落ち着いているため間抜けな顔と声で頷くしかできない

凄いな。冷静すぎんだろ


「あの…有難うございます。」

「いえいえ」
美人さんが軽く微笑む

わあ…綺麗な人は何やっても美しいな
見惚れるとは正にこういうことなんだろうな

「お一人ですか?」
美人さんがあたしのコンビニ袋を見て聞く
「え?…あ〜…そうです。あはは」
寂しい女過ぎて笑うしかない

「お仕事で?」
「はい…」
「随分遅くまでなんですね」
「わたし要領が悪いので…」
どうやら管理の人が来るまで雑談をして気を紛らわせるようだ

「お一人ですか?」
「はい、一人暮らしです。2ヶ月ほど前に越してきました。渚です。あなたは?」

…見知らぬ人に名乗るのは気が引けるが
まぁ、悪い人じゃあなさそうだし。いっかな
「苗字です。」

「クス…ふふふ…」
突然、渚さんが口に手を当てて笑い出した

え…何かおかしかったか?

「自分で聞いといてなんですけど、あまり知らない男に名乗ったり一人暮らしだと言わない方が良いですよ。女性なんですから」
「えっ…あ…そうですね…」
美人だから迂闊だった。こんな世の中だもの良い人に見えてもどんな人か分からないもんね。何でも素直に答えたら馬鹿を見る

「僕…実は苗字さんとお会いするの2回目なんですよ。覚えてますか?」
「えっ?!…いえ…全く……すみません。どちらでお会いしました?」
「やっぱり覚えてないですよね。一ヶ月半くらい前にマンションのエントランスでお会いしたんですけど。うっかりエントランスキーを部屋に忘れてしまって立っていた時に…」
「……あぁーー!!あの時のっ?!全然気付かなかった…すみません…」
「いえ、あの時は僕もマスクしてましたし苗字さんも急いでいたみたいだったので、仕方ないですよ。そういえばあの時も苗字さん無防備でしたよね」
「あぁ……」
「誰か分からない僕をマンションに入れてくれちゃいましたし」
「いや…あの…つい…凄く困っていらっしゃったから…」
「ふふ。まぁ、僕は助かりましたけどね。あの時は本当に有難うございました」
「いえいえ…」





……何か話題話題…管理の人まだかなぁ?








「あの…」
「はいっ?!!」
「そんなにビックリしないでください」
「すみません…」
「もしよければなんですど、今度お食事でも行きませんか?」
「…………はいっ?」
「いや、食事でも」
「あ、大丈夫です。聞こえてはいます。ただ理解できなくて」
「これ………僕の携帯番号です。もし良かったら連絡してください」

…………………………



ちょっと待って?いきなりすぎて思考回路が追いつかないんだけど?
何?新手のナンパ?
いや、でもこんな美人にかぎってあたしなんかあり得ない
え?え?どゆこと?

ぐるぐる頭で考えていると

ガーーーッ!
「すみませんっ!!大変お待たせしました!!お怪我はありませんか?!」

「あ…大丈夫…です…」

「修理させていただきますので、申し訳ないんですが階段でお願いします」

「じゃ、苗字さん。連絡お待ちしてますね。お休みなさい」
「えっ?!ちょっ!わっ!」

雨のコンクリート臭い階段の前で一人電話番号の書かれたメモを持って立ち尽くす午前0時30分

このドキドキは果たして閉じ込められたドキドキなのか
それとも……?














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