「シンジくん。今日の放課後一緒に図書室に行かないかい?」
「カヲルくんの誘いならもちろん行くよ」
「ありがとう」
「お礼なんて!」


うふふ……あはは……


「…………」
机に頭を突っ伏し、仏頂面で仲良し2人組を睨…訂正、見つめる

そこらのバカップルならここまで禍々しいオーラを纏いながら見つめることは無い
単に、リア充爆ぜろっ! 〜終了〜
しかしカヲルくん絡みなら話は別だ。
日頃より身に付けてきたスルースキルを発動することは否、気持ちを他に向けることも出来ない

そう。なんでってあたしはカヲルくんが好きだから

カヲルくんがシンジくんと仲良しなのは今に始まった話じゃないし、どう見てもお似合いなのは分かってる(男同士がどうとかそういう話は置いといて)

でもだからと言ってこの気持ちが無くなるわけじゃないし、簡単に忘れることなど毛頭無理だ。
だから、あたしは自ら2人の仲睦まじい姿を見つめてしまうのだ


「はぁ……」
自分が醜くくて仕方ない。容姿だけじゃなく心までも
この年で嫉妬を経験するにはまだ早くない?
もっとキラキラ、ドキドキ、るんるんなまさに青春な恋愛をしているはずでしょうが…

「はぁ……」
どうして上手くいかないかなぁ…
いっそこの気持ちと共にあたしも消えてなくなりたい。嘘、やっぱ消えたくない

うだうだと半分寝ている状態のあたしの視界が真っ暗になる

「っ?!!」
え?!マジでこの世から消され…
「名前、大丈夫?体調でも悪いの?」
…るわけないね。うん
あたしの視界をシンジくんが遮った
「いや……すこぶる良好でっす」
「そう?無理しないようにね」
「ありがとう…」
それだけ聞くとまた自分の席に戻りカヲルくんと会話を再開する


…何この天使。
これだからシンジくんを憎むことも出来ない

もういいや、放っとけば時間が解決してくれるでしょ
今はただシンジくんよりカヲルくんと仲良くなれる方法を考えよう






(名前、体調が悪いわけではないってさ)
(そう、なら良いんだけどね)
(僕に聞きに行かせるくらいなら、カヲルくんが直接聞けば良いのに…)
(僕よりシンジくんの方が仲が良いからね。聞きにくいのさ)
(そうかなぁ?…)



あぁ、恋する乙女は悩ましい





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