「ぅあ〜…だる……」

こりゃ風邪ひいたな…

きっと昨日地下鉄で盛大に咳してたおっさんの風邪がうつったんだ!
あのおっさんめ!今度会ったらただじゃおかん!

とりあえず熱計らなきゃ…
んで、学校に連絡して…
何か食べて薬…飲まなきゃ…うぅぅ…


「はぁ…はぁ……」
ピピピッピピピッ

「………38.2℃…うげ…」


熱とか滅多に出ないから、こんだけ高いと頭クラクラする…

もう……寝よ……
















ガチャガチャ……バタンッ
トン、トントン…

ん…お母さん帰ってきたのかな…
でも今まだお昼じゃない?


ガチャッ、キィィ……

「名前?大丈夫?」

この声は…あきらかにお母さんじゃない
ゆっくり振り返ると…

「………なんでカヲルがいんの」
「そんな怖い顔しないでよ。学校に行ったら名前が休みだって聞いたから、心配で来たんじゃないか」
「呼んでないんだけど…てかどうやって入ってきたの。鍵かかってたよね?」
「どうやってもなにも鍵を開けてだけど?」
「その錠を開ける鍵をどうしたのかって聞いてんの」
「こんな時の為に合鍵を作っておいてよかったよ…」
「満面の笑みで言う事じゃないよね。
……それについては後日ちゃんと話そうか」
もう怒る気力もないわ
カヲルがいることを無視して再び寝る

「はぁ…ふぅ…」

モソ…
ん?
モソモソ…モソモソモソ

「あの…カヲルさん…何やってるんですか…?」
「え?何って風邪の時は暖かくしないといけないんだよね?だからこうやってあっためてあげようかと…」
「だからってなんで抱きついてくるのっ」
「より密着した方が暖かくなるからさ」
「結構ですっ!も〜…離れて〜!」
「恥ずかしがらなくてもいいのに」
「そういうのじゃなくて、ほんとにいいから!」
力一杯両手で押すがビクともしない
それどころかあたしの指にカヲルの指が絡んでくる

「…はぁ、はぁ…もうっ!心配しに来たの?悪化させに来たの?どっち?!」
「もちろん前者さ」
「じゃあ、もうそっとしておいてくれるかな…はぁ…悪化しちゃうから…」
「う〜ん……あ!じゃあお粥作るよ!リリンは風邪の時に食べるんだよね?」
「………あたしの話聞いてた?」

「ちょっと待ってね名前」
誰かこいつを止めてくれ

「はぁ…ゴホッ、そもそもカヲル料理出来ないでしょ…いいから…何もしなくて…(てか帰って)」

「ふふっ、そんなこともあろうかとレトルトのお粥買ってきたんだよ。塩と梅と鮭どれがいい〜?」
そういうとこだけは準備良いな
もう作る(温めるだけ)気満々だし…拒否してもどうせ作るんでしょ

「…………じゃあ梅」

「はい」


トントン、トントントン……

…今のうちに部屋の鍵閉めとうかな
でもカヲルならこっちの鍵も合鍵作ってるかもしれないし…万が一ATフィールドで鍵壊されたら後の修理がめんどくさいしな…

台所荒らしてないといいけど、後で怒られるのあたしなんだよね…

でも正直立つのもしんどかったからカヲルが来てくれて助かったかも
何か食べないと薬も飲めないし
わざわざ早退してまで来てくれるなんてやっぱ優しいな…






「お待たせ。起きれるかい?」
「うん…」
「ゆっくりでいいからね…」
腰にカヲルが手を回し起きるのを手伝う
「…腰は撫でなくて良いよ」
「バレたかい?」


「熱いから気をつけてね」
「ん……………………?
ねぇ、ちょうだい」
「食べさせてあげるよ」
「いや、自分で食べれるからっ」
「遠慮することないさ。ほら…あ〜ん」
「やらないって、もうっかしてっ」
「熱があるんだから大人しくしてなって」
「誰のせいで暴れてると思ってんの…もう冗談はやめて、かしてよ!」
ひょいっと器を持ち上げ、届かない位置に持っていってしまう

く……人が動けないのを良い事に…
さっきの言葉、前言撤回!完全に遊んでる!
こんな事してたら本当に悪化してしまう!
ここはカヲルの言う通りにして早いところお帰りいただこう

「はぁ…分かったから…じゃあ、食べさせてください」
「今日の名前は素直だね。はい、あ〜ん…」
「……あ〜〜ん」
「美味しい?」
「うんうん…(レトルトですもんね)」

「まだ食べれそう?」
「……もう少しなら」
「ふふ、あ〜ん…」
「あ〜〜ん…」
あぁ…生き地獄……風邪なんてひくんじゃなかった…はぁぁぁ…





「はぁ…ごちそうさま」
「じゃあ薬飲まなきゃね」

「……まさか薬も?」
「ん?あ〜んしてほしいかい?」
「…………いい加減怒るよ」
「あは、冗談だよ」
ものすごい楽しそうだな。人が風邪ひいてる時にイジメといて

「薬と飲み物とってくれる?」
「はいはい」
はぁ…食べたら熱くなってきた…
ボーッと窓の外を眺める

「名前、」
「ん、ありが
振り返ると同時にキス
「っ!〜〜〜〜〜ふぁっ!!はぁっ!カ、カヲっ!?」
「ちゃんと飲んだ?」
「〜〜〜〜普通に飲ませてよっ!!」
「あは、顔真っ赤。可愛いなぁ…ほんと」

マジで治ったら覚えてろ








おまけ


1週間後風邪が完璧に治ったあたしがまずした事?
それは家の鍵を新しくした事です
カヲル?もちろん口も聞いてません



「シンジくん…名前がもう1週間も口聞いてくれないんだ…なんでだろう?僕何かしたかな?」
「……………(名前も大変だな)」








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