いやだ、と首を振る達海の首筋に後藤は噛みついた。ちくりと滲む痛みから悲鳴じみた声が上がる。ちょっと痛かったか。頬に零れ落ちる涙を唇で受ける。


「んっ、……う、…ごとっ…あ、そこっ…いやぁッ、」
「達海」
「う、っぁ…ごと、う…っ」

伸ばされた腕を取り、肩まで導いてやれば達海はそのまま後藤に身体を預ける。

「大丈夫か?」
「…ん……っ、…」
「もう少しいけるか?」


達海が頷くことを確認する。後藤は薄く笑うと再び律動を開始した。






「俺たち30後半にもなって何やってんだかって思うときもあるよ」


体力的に無理が生じた達海が枕に埋めていた顔を傾け、言葉を漏らした後藤に視線を送る。横になりながらゆっくりと達海の髪を撫でていた後藤はその手を先程自分が点けた紅い印へと移動させた。
くすぐってぇ。達海は身体を竦める。

「なに、じゃあ、やめる?」


困ったな。後藤は苦笑した。
拗ねたように唇を尖らせてみせた35歳の男に対して愛しいという感情が沸き上がるばかりだ。


「やめられないから、悩んでいるんだ」
「うん。俺、後藤のこと好きだからまだ放してやんないよ?」


後藤はニヒヒ、と笑う達海に唇を重ねた。




逃げられない
逃がさない





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