「タッツミーお願いだからすぐにきて」


電話越しに聴こえるのはいつもの自信に満ち溢れた声なんかじゃなくて弱々しいそれに首を傾げる。
何かあったのだろうか、はたまた風邪でもひいたのだろうか。タクシーを拾いジーノの家へ向かう。玄関に鍵はかかっていなかった。俺が入って来れるようにしたのだろうと思いつつ奥に進めばジーノお気に入りのソファの上で丸まっている姿が目に入る。近づくとバッと顔を上げたジーノが飛び付かんばかりに抱きついてくる。


「な、なんだぁ?」
「見てよタッツミー!コレ!」


指し示されてすぐにジーノの異変に気づく。
え、なにこれ、ふざけてんの?
一瞬そんな言葉が喉から出かかったが慌てて飲み込んだ。ジーノの目がマジなのだ。


「どしたの?」
「わかんないよ。朝起きたらなんか付いてた。誰にも相談出来ないから君を呼んだんだけど」

いや、呼ばれても…
猫耳が生えたなど、どうして良いかなんてわかりゃしない。


「それにほら」

ジーノは反転してみせた。わぁお。しっかりとふさふさした尻尾が揺れている。

「……どーすっかね」


ジーノの目が助けを求めていて俺は深々溜め息を吐いた。





「ちょ、や、それ!」
「んだよ、調べらんねーじゃん」
「調べてわかるの!貴方!」
「……いや?」

ひとまずジーノの耳を調べようと触れてみるとこれがまたオモシロイ反応を見せてくれる。

「ダメだって、タッツミーっ!」
「……かーわいー」
「ひどい…タッツミーがひどい…」

ぐすんと泣き真似をしてみせるジーノにお構い無し。
正直、かわいい。

「にゃあ、って鳴いてみろよ」
「……怒るよ?」

ムッとした表情を浮かべたから、あ、やばいと思った時にはすでに遅し。視界に映るのは天井をバックにしたジーノの眉を寄せた顔。


「躾がなってねーなー」
「ふふ、じゃあ貴方が躾てよ」

口元に弧を描いたジーノが、首筋に噛みついてくる。じん、と痛みの増したそこにはきっと歯形がついているだろう。

「こら、やめろって」
「えー」

ゆらゆらと揺れる尻尾に気がつく。掴まえて、撫でてやればジーノの表情がとろんと溶けていく。
熱の隠った視線を感じ、目を閉じた。ちゅ、と掠めるような可愛らしいキスは深い口づけへと変わっていく。猫耳に触れるように頭を撫でてやると、もっともっとと貪欲に舌が侵入してくるから困る。



「タッツ、」
「あ、んあ?」


お互い服は脱ぎ捨てた。身体が熱いしどうしようもない。それに今日のジーノが可愛くて、なんだか流される。
いつのまにかジーノの足の上に誘導されてしまう。

「ゆっくり、腰落としてよ、」
「…だ、め、もームリっ、」


後孔にジーノのモノをあてがう。徐々に落としていく腰に、緊張して額に汗が滲む。
コレってものすごく勇気がいるんだぜ?
快楽に侵食される思考の片隅で思う。

「…ひ、あ…ちょ、ンンっ」

ジーノの指が腰を這った時、思わず足の力が抜け落ちた。ずんと奥に感じるジーノのモノに、声が上がる。

「ふ、あ、やあ…ふか、……んっ」


ジーノの背に腕をまわし、引き寄せる。顎に猫耳がふわりと掠めた。興味本意にその耳を追いかけて、あむっとくわえてみると、


「っ、ん、だめ、」
「はは、…おっきく、なった」
「…っ……キミはっ……」
「ちょ、あ…っ…ごめ、っ……ふ、ぁんっアア」




白濁をお互いが吐き出した後、ソファにぐだっと体を預けた。腕を伸ばして、ジーノの尻尾に触れる。

「性感帯ってやつ?」
「そう思うんだったら触んないでくれる?それとももう一回する?誘ってる?」
「そうだって言ったら?」

目を見開いたあと、すぐに訝しげな視線を送られてしまった。

「あやしい……タッツミーがこんなに優しいわけがない!」
「俺を何だと……俺は可愛い動物には甘いぞ」

一瞬キョトンとして、すぐさま肩を震わせて笑い出すジーノに口を尖らせた。

「なんだよ」
「だから貴方バッキーに甘いの?」

あははっ、と珍しく無邪気に笑うジーノに胸の奥があたたかくなるが気がつかない振りをして、視線を逸らした。



だって、かわいーじゃん


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